新東工業株式会社

予知保全サービス基盤の
AWS移行プロジェクトを
JMASと共同で実施
サービスのグローバル展開と、
UI改良による操作性の向上を実現

目的

遠隔モニタリングシステムを刷新し、国内だけでなく、海外の顧客にも予知保全サービスを展開したい

概要
  • 新東工業株式会社(以下、新東工業)は、予知保全サービス基盤である遠隔モニタリングシステムを、通信キャリア指定のクラウド仕様からAmazon Web Services(以下、AWS)へ移行するプロジェクトを実施
  • クラウドへのシステム移行、開発の実績などを評価し、JMASをパートナーに選定
  • プロジェクト後、国内だけでなく、海外にも予知保全サービスを展開
課題
  • 予知保全サービスのグローバル展開を目指す中、従来の遠隔モニタリングシステムをそのままの構成で使い続けるのは無理があった
選定理由
  • クラウドへのシステム移行、開発の経験と実績が豊富
  • AWS Partner Network(APN)アドバンスドコンサルティングパートナーとして活動
  • 助力を仰ぎたいと思わせる提案力とサポート体制
効果
  • グローバルでのサービス導入実績も生まれている
  • 操作性と視認性に優れたUIを実装できた

予知保全サービス基盤の刷新が不可欠に

IoT事業推進部 中村 直寿氏

新東工業株式会社(以下、新東工業)は、愛知県名古屋市を本拠として国内46カ所、海外17カ国33カ所に製造・販売サービス拠点を置く鋳造設備メーカー大手だ。1934年の創業以来、鋳造事業を要として培った技術とノウハウをさまざまな素形材産業分野へ応用、展開。鋳造設備にとどまらず、表面処理、環境保全、メカトロニクス、セラミックス、粉体処理などの各種産業用設備を自動車、航空機、鉄鋼、造船などの幅広い業界に提供している。

新東工業ではアフターサービスの専任組織としてサポートセンターを運営する。部品・消耗品の供給、設備診断、設備のアップグレード提案、突発的な設備停止からの早期復旧支援などを通じて顧客に納入した設備の安定稼働を実現することが主なミッションだ。

IoT事業推進部 中村 直寿氏は、「製造業にとって設備保全は操業にかかわる重要な課題の1つです。サポートセンターではセンサーと通信モジュールによって顧客に納入した設備の稼働、振動値、温度データを収集し、24時間365日のモニタリング結果を遠隔地のパソコンやスマホで可視化できるサービスを提供しています。これによりお客様は設備の故障や異常の兆候をとらえ、プロアクティブに対処する“予知保全”が可能になります」と語る。

しかし、従来の遠隔モニタリングシステムの構成では予知保全サービスをグローバルに展開することが難しかった。通信契約の縛りにより国際ローミング料金が高額になってしまう問題があったためだ。そこで同社は老朽化に伴うハードウェアのリプレースを機に遠隔モニタリングシステムを刷新することを決めた。


AWSでの実績と提案力を評価

サポート推進グループ 草野 公一氏

新東工業は2016年12月、通信キャリア指定のクラウド仕様の遠隔モニタリングシステムを刷新するプロジェクトを立ち上げた。目的は、システムの基本的な機能に変更を加えることなく、通信環境を見直した上でクラウドプラットフォームに移行することだ。そこで同社はシステムインテグレータを調査する中で知ったJMASを、クラウドへのシステム移行・開発の実績、社会的信用力、サポート体制などの項目で評価。結果、JMASをプロジェクトのパートナーとして選定した。

サポート推進グループ 草野 公一氏は、「弊社には顧客向けサービスの専任情報システム担当者がおりません。クラウドの利用を前提としたのは、システム運用・保守にかかる負担を最小限に抑えたい狙いがあったためです。そんな中、JMASから提案されたのがAmazon Web Service(以下、AWS)です。JMASは提案段階においてAWSへの最適な移行プランと必要なステップをわかりやすく説明してくれました。JMASのコンサルタントとエンジニアにはプロジェクトを安心して任せられる頼もしさと親近感を覚えました」と話す。

もちろん、AWS Partner Network(APN)アドバンスドコンサルティングパートナーとして実績を重ねていること、製造業を熟知する日本能率協会グループの一員であることもJMASを評価したポイントだった。

AWSへの移行作業は概ね予定通りに進行した。これは、JMASが日々の進捗と結果を過不足なく共有し、タスクの前後調整を行いながら開発を上手くリードした結果だ。草野氏は「お客様が設備の稼働状況を確認するためのUI(ユーザインタフェース)の改良には二の足を踏んでいました。改良の余地があると認識していたものの、その効果について半信半疑だったためです。JMASはそんな迷いを察してか、スマホとタブレット端末に最適化されたUIを自発的に提案し、プロの視点で背中を押してくれました。JMASのエンジニアと認識をすり合わせながらボタン配置やコンテンツレイアウトなどを変更し、結果的に操作性と視認性に優れたUIを実装できたことに感謝しています」と話す。


海外の顧客も設備の稼働状況をビジュアルに把握

新東工業は、AWSをプラットフォームとする新たな遠隔モニタリングシステムを稼働させた。旧システムから新システムへの移行にあたっては事前に顧客の了承を得ることが重要なポイントだった。新システムへの切り替えによって顧客の保全業務に支障をきたすわけにはいかないため、事前にいくつかの設備においてセンサーと通信モジュールの取り換えを実施。顧客に使い勝手などを評価してもらった上で新システムに乗り換えてもらうステップを踏んだ。結果、同社は約1年間並行稼働させてきた旧システムを撤廃し、サービス基盤を新システムに一本化することに成功した。

センサーから収集された設備の稼働データはネットワークを通じてAWSに送られる。ユーザはAWS上の遠隔モニタリングシステムにアクセスすることで設備の稼働状況をビジュアルに把握することが可能だ。また、監視対象設備の振動や温度がしきい値に達した場合、ユーザにメールで自動通知する機能も実装している。新システムについては操作性を評価する声が多く、ユーザから好意的に受け入れられているようだ。

草野氏は、「遠隔モニタリングシステムの刷新により国内だけでなく、海外のお客様へのサービス展開も可能になりました。グローバルに引き合いは増えており、すでに米国やタイなどで実績も生まれています」と語る。

新東工業は今後も遠隔モニタリングシステムを継続的に改修し、サービスの高度化に取り組んでいく。センサーの種類を増やし、振動と温度以外のデータも収集・測定対象を増やしていくことが当面の目標だ。

中村氏は、「予知保全サービスにおけるAIの活用はわれわれが目指すべきところです。AIに設備の正常データと異常データを学習させ、異常を高精度に検知できるモデルを作成することで保全業務におけるお客様への提言の幅をさらに広げていきたいと考えています。ただ、IoTとAIの知見なくして構想を具現化することはできません。JMASのサポートに今後も期待しています」と話した。


会社プロフィール

社名
新東工業株式会社
本社
愛知県名古屋市中村区名駅3丁目28番12号
URL
https://www.sinto.co.jp/

新東工業株式会社(以下、新東工業)は、愛知県名古屋市を本拠として国内46カ所、海外17カ国33カ所に製造・販売サービス拠点を置く鋳造設備メーカー大手だ。1934年の創業以来、鋳造事業を要として培った技術とノウハウをさまざまな素形材産業分野へ応用、展開。鋳造設備にとどまらず、表面処理、環境保全、メカトロニクス、セラミックス、粉体処理などの各種産業用設備を自動車、航空機、鉄鋼、造船などの幅広い業界に提供している。