株式会社日本アクア

全国の営業所と認定施工店間の
受発注業務をシステム化し、
業務効率化とペーパーレスを実現

目的

全国40カ所の営業所と250社の認定施工店間においてFAXを通じて行われてきた受発注業務を電子化、自動化し、業務の効率化を図りたい

概要
  • 日本アクアは、営業所と施工店間でFAXを通じて行われてきた受発注業務を電子化、自動化するためのシステムの構築に着手
  • JMASに協力を依頼し、各施工店が保有するスマートデバイスからも利用できる「認定施工店支援システム」をAWS上に展開した
  • 結果、営業所と施工店間の受発注業務プロセスの標準化と効率化が実現
  • 受領した注文書類の管理から解放され、FAX用紙も大幅に削減されている
課題
  • 営業所と施工店間の受発注業務において用いられるFAX用紙の量が膨大だった
  • 認定施工店の担当者は、FAX機のある場所からしか発注業務を行えなかった
選定理由
  • BtoB受発注システムの構築やモバイル開発の実績が豊富
  • AWSの APNアドバンスドコンサルティングパートナーとしての実績が豊富
成果
  • 営業所と施工店間の受発注業務プロセスの標準化と効率化を実現した
  • ペーパーレスを推進できた

FAXを通じて行われてきた受発注業務が限界に

業務管理本部 本部長 川上 千絵美 氏

株式会社日本アクア(以下、日本アクア)は、戸建住宅および建築物向け断熱材の販売、施工を柱にビジネスを展開している。現場発泡ウレタン断熱材「アクアフォーム」は看板商品だ。断熱性や気密性、吸音性に優れ、地球環境にも優しい商品としてハウスメーカーや総合建設業者などから高い評価を得ている。

日本アクアはハウスメーカーや工務店、リフォーム店、総合建設業者などから断熱施工を受注すると、自社施工部門での直接施工、あるいは認定施工店への外注施工をもって対応する。認定施工店は遵法性、施工能力において同社が定める基準をクリアしている事業者であり、全国に約250社を数える。

業務管理本部 本部長 川上 千絵美氏は、「われわれは、認定施工店に原料や副資材を有償支給し、施工後に買い戻すといった取引形態をとっています。施工店の発注先となるのは全国40カ所の営業所です。内勤スタッフは受注管理や伝票の整理などを行い、FAXを通して日々入ってくる注文に対応してきました。ただ、受領確認や納品書、検収書、納期回答などのやり取りは全営業所で1カ月あたり数千件にも上り、FAXに用いられる紙の量も膨大です。ペーパーレス化は歓迎すべきものでした」と語る。

各営業所では施工店からFAXで注文書を受け取ると内勤スタッフがその内容を業務管理システムに入力する。すると本社の調達部に発注書がメールで送信されるが、このプロセスは非効率な側面があった。施工店からの手書きのFAXは書き方のクセや文字のかすれなどによって判読しにくいこともあり、人的エラーが入り込む余地もあったのだ。一方、施工店側もFAX機のある場所からしか発注できないという問題を抱えていた。


JMASが作成したプロトタイプをもとに
優れたUI/UXを追求

人事総務部 IT課 課長 山口 剛 氏

日本アクアは、施工店とFAXのやり取りを通じて行われてきた受発注業務を電子化、自動化することが必要と判断。スマートデバイスからもアクセスすることを前提とした「認定施工店支援システム」の構築プロジェクトを立ち上げた。

まずは仕様や要件などを定め、複数のパッケージベンダー、システムインテグレータによるコンペを実施した。重点的に比較、検討したのは、システム構築のノウハウや技術力、実績、コスト、開発スピード、サポート体制などだ。

人事総務部 IT課 課長 山口 剛氏は、「スマートデバイスの利用も含め、ITに不慣れな方でも簡単に使えるシステムを構築する必要がありました。ほかに重視したのはスピードです。業務プロセスに合わせて必要最小限の機能からスタートし、段階的に拡張していく方針の中でパッケージ開発は不適当と考え、スクラッチ開発も得意とするJMASの提案を受け入れたのです」と話す。

同社はクラウドファーストを掲げており、認定施工店支援システムをAWS(Amazon Web Service)に置くことを決めていた。先々の機能拡張やシステム間連携を見据えてもコストやスピード、サービスの質などの面でメリットが大きいためだ。AWSの APNアドバンスドコンサルティングパートナーとして実績を重ねるJMASを選んだのは必然だった。

今回のプロジェクトでは営業所と施工店間の受発注業務プロセスを標準化することも狙いだった。第1フェーズとなる受発注管理パートの開発にあたっては既存の業務プロセスの問題点を明らかにし、より実効性のあるプロセスを再定義した。

川上氏は、「開発において重視したのは、業務に合わせたユーザーインターフェース(UI)、ユーザエクスペリエンス(UX)を設計することです。JMASが作成したプロトタイプをもとに、サイトデザインやレイアウトといった見栄えだけでなく、画面遷移やコンテンツ表示の滑らかさといったユーザ体験の指標も検証、評価することができました。われわれの合意を得ながらUI/UXの精度を高めてくれたため、各評価段階でのアウトプットにズレはなく、手戻りもほとんどありませんでした」と語る。


受発注業務プロセスの効率化と
ペーパーレスを実現

代表取締役 中村 文隆 氏

日本アクアは2019年5月、認定施工店支援システムを稼働させ、一部の認定施工店でのトライアルを開始。実用面に問題がないことを確認し、すべての認定施工店に展開した。

各施工店の担当者はスマートデバイスから新システムにアクセスして発注作業を行う。原料の数量を入力し、注文ボタンをタップするだけで発注を完了することが可能だ。また、発注履歴の一覧を見れば、納期も確認できる。一方、営業所のスタッフは各施工店の受注状況を一覧で確認できるようになった。受注明細はCSVファイルで業務管理システムに取り込める仕組みだ。このため、業務管理システムへの手入力も不要になった。

山口氏は、「営業所と施工店間の注文書などのやり取りを電子的に行えるようになったため、FAX用紙が大幅に削減される見込みです。優れたUI/UXを実装できたことも成果の1つです。認定施工店支援システムはユーザから好意的に受け入れられており、操作方法などに関する問い合わせもほとんどありません」と話す。

現状は受発注機能のみの提供にとどまっているが、今後は機能を拡充していく。工程表管理はその1つだ。これまで各営業所では主にExcelを使って工程表管理を行ってきたが、ビジネス規模の拡大とともにそのやり方には限界が見えてきた。たとえば、工程実績や進捗状況などの情報を本社のマネジメント層や施工店とリアルタイムに共有できなかったのだ。また、属人的に管理されてきたExcel上のデータは粒度が異なる上に入力ミスによる重複や不整合も散見され、データの信頼性や妥当性を担保することが難しかった。

代表取締役 中村 文隆氏は、「各営業店に工程表作成機能を提供し、まずはデータの粒度をそろえるところから始めていきます。データの品質を確保し、分析結果をさまざまな経営判断や最適な予算計画の策定などに役立てられるようになれば理想です。施工店側にも施工計画と実態のズレをリアルタイムに確認できる機能を提供し、適正な進度で施工を完了できる体制を整えていきます」と語る。

認定施工店向けのポータルサイトの開発も視野に入っている。断熱施工において有益な情報や配慮すべき事項を全施工店へ迅速に共有、周知することで、さらなるサービス品質の向上につなげたい考えだ。中村氏は、「施工体制の標準化を進め、さらなる受注拡大を目指す中でJMASのサポートは不可欠です。長期的なITパートナーとしてJMASの今後の支援にも期待しています」と話した。


会社プロフィール

社名
株式会社日本アクア
本社
東京都港区港南2-16-2 太陽生命品川ビル20F
URL
https://www.n-aqua.jp/

日本アクアは、戸建住宅および建築物向け断熱材の販売、施工を柱にビジネスを展開している。現場発泡ウレタン断熱材「アクアフォーム」は看板商品だ。断熱性や気密性、吸音性に優れ、地球環境にも優しい商品としてハウスメーカーや総合建設業者などから高い評価を得ている。