端末にデータを残さないセキュアブラウザ

山ノ内町 様

山ノ内町

町内のすべての小学生を対象にした
志賀高原ユネスコエコパークでの校外学習にタブレットを活用
~持続可能な社会を構築する担い手を育む教育(ESD)を実践~

山ノ内町様は1980年(昭和55年)に、志賀高原ユネスコエコパーク※1に登録された。しかしながら、登録手続きが国主導で進められたこともあり、目立った取組みはなされず、地域でも認知度が低い状況にあった。

そこで山ノ内町では、ユネスコエコパークの目的である“自然と人間社会の共存”をテーマに地域ブランドの価値を高め、観光や農家など地場産業の振興につなげる試みを開始した。
さらに、“持続可能な開発の教育(ESD)※2”の理念のもと、志賀高原ユネスコエコパークを活用した教育も町内の小学校で開始した。

志賀高原ユネスコエコパークを活用した教育をより効果的に進めるための仕組みとして、山ノ内町様ではタブレット端末を町内の小学校に40台導入した。

※1 志賀高原ユネスコエコパークとは
         ユネスコエコパークはユネスコの取り組みのひとつで、正式な名称は「生物圏保存地域」
         志賀高原ユネスコエコパークは、1980年(昭和55年)に登録された。
         詳しくは以下をご覧ください。
         http://www.town.yamanouchi.nagano.jp/shiga_highland_biosphere_reserve.html

※2 Education for Sustainable Development(ESD):持続可能な開発のための教育 とは
         ESDは将来にわたって持続可能な社会を構築する担い手を育む教育のこと
         生物圏の教育・利用・保全の調和を図るユネスコエコパークはESDの場として適している。

KAITO セキュアブラウザ導入に至るまでの背景

自然の中で学べる環境を実現したい

山本氏写真山ノ内町 観光商工課
ユネスコエコパーク推進室 係長
山本 敏幸 氏

山ノ内町様では、タブレット端末を町内にある全ての小学校(4校)に合計40台導入した。タブレットを導入した理由は、ESDの理念のもと、山ノ内町の恵まれた自然の中で地域についてより効果的に学習できる環境を整えたいという想いがあったからだ。

「山ノ内町は自然に恵まれているが、この地域で生活していることの良さに気がつかないケースが少なくない。多くの子供たちに地域の良さに気がついてもらいたい。山ノ内町の自然について学べるような環境を整えたかった。」(山本 氏)

最適な学習環境を整えるために、山ノ内町ではタブレットの活用に注目した。タブレットであれば校外に持ち出して、自然の中で学習が可能だからだ。

「効果的な学習を実現するためには、①校外学習の際に、何か気になったことがあったらその場で調べられる環境、②学んだ内容を共有できる、環境が必要だった。そのために、タブレットに注目した。」(山本氏)

①については、子供たちが地域に生息する生物や植物について気になったことがあったら、その場ですぐに調べられる環境(気づき)、②については、校外で撮影した写真など学んだ内容を町内の小学校で共有できる仕組み(共有)を整えたかったようだ。

そこで、山ノ内町様ではタブレットの導入と並行して、学習の基盤である、“みんなで作る 山ノ内キッズ Book(以下、山ノ内キッズ)※3”というサイトを立ち上げた。このサイトでは、志賀高原エコパークや山ノ内町について学べたり、自然の中で撮影した写真などを町内の生徒と共有できたりする。

「より効果的にタブレットを活用してもらうためには、学習コンテンツが重要だった。そこで、ユネスコキッズ※4というサイトを運営しているNTTドコモ様に相談した。ユネスコキッズの運営ノウハウを活かし、志賀高原ユネスコエコパークや山ノ内町について学べ、学習内容を共有できるサイトを構築していただいた。」と、山本氏は語る。

山ノ内町様では、2015年7月にタブレットを活用して、志賀高原ユネスコエコパークや山ノ内町に関する“気づき”と、その気づきを“共有”できる仕組みを構築し、運用を開始した。

※3みんなで作る 山ノ内キッズ Book

※4小学生のための世界自然遺産プロジェクト ユネスコキッズ
 http://www.unesco-kids.com/

KAITO セキュアブラウザを選定したポイント

校外利用を前提にしたタブレット選定とセキュリティ対策

久保井氏写真株式会社 NTTドコモ 長野支店
長野法人営業担当主査
久保井 健吾 氏

山ノ内町様では、タブレット導入を検討した当初から校外での利用を検討していた。
そのため、具体的なタブレットを検討するにあたり、端末選定を担当した久保井氏は校外学習ならではのポイントを挙げた。

「校外学習を前提にしていたため、公衆回線でも利用でき、防水機能を持ったタブレット端末をご提案した。急な降雨や落下などに配慮したかった。」(久保井 氏)

また、タブレットのセキュリティ対策については、①Webブラウザのセキュリティ対策、②フィルタリング機能の2点をポイントにしたと久保井氏は語る。

「KAITO セキュアブラウザは“端末にデータを残さないWebブラウザ”だ。端末にデータ(履歴、閲覧したページ)を残さずにWebサイトへアクセスできれば、万が一、端末が盗難・紛失にあってもセキュリティは担保できる。さらに、KAITO セキュアブラウザはホワイトリスト方式によるフィルタリング機能も有している。授業とは関係のないサイトを閲覧できない。KAITO セキュアブラウザは山ノ内町様の要件にマッチしたソリューションだった。」

学習の基盤として利用している“山ノ内キッズ”はWebベースの仕組みで、Webブラウザを利用してアクセスする。Webブラウザのセキュリティ対策が考慮されていれば、タブレットのセキュリティリスクは軽減できる。また、授業でタブレットを利用する場合、Webブラウザからのアクセス制限も必要だ。授業中に不必要なサイトへのアクセスを遮断しなければならない。この2点を実現したソリューションだったことが評価につながった。

今後の展開について

子供たちの学習意欲の高まりと、利用シーンの広がり

ユネスコエコパークの目的である“自然と人間社会の共存”と“持続可能な開発ための教育”をテーマに始まった山ノ内町様の今回の試み。タブレットを導入して3カ月ほどが経過したが、その効果は少しずつ表れている。

「タブレットにはGPS機能があるが、この機能を利用して“山ノ内町を知る授業”を実施している先生もいる。自分(生徒)が町のどこにいるのか、町のどこに何があるか/あったのか。子供たちが今までに気がつかなかった地域のことを楽しみながら知り、山ノ内町への関心が高まる。このような活用シーンの広がりもタブレットを導入したことの効果ではないか。
 タブレット導入当初は、タブレットそのものへの関心が高かったが、山ノ内キッズを通じて、志賀高原ユネスコエコパークを理解し、タブレットを活用した校外学習により地域を知る。この一連のプロセスを通じて、子供たちの山ノ内町への関心が高まっていると感じる。」
(山本 氏)

最後に、今後の展開について山本氏は、以下のように語った。

「タブレットを導入した効果は子供たちの地域への関心、タブレットの利用シーンの拡大という形で表れてきた。この活動は今後も継続したい。しかしながら、そのためには山ノ内町キッズのコンテンツ拡充が必要だ。これまでの経験を活かしながらコンテンツを拡充し、タブレットの活用シーンをより広げたい。
 最終的な目標としては、山ノ内町を“環境・自然教育/学習の場”として確立し、多くの人に山ノ内町を訪問してほしい。そして、山ノ内町の恵まれた自然に触れてもらいたい。そのためには、タブレットは欠かせない存在だろう。今までの経験を活かしながら、タブレット活用については引き続き知見を深めていきたい。」

長野県山ノ内町について

長野県の北東部に位置し、上信越高原国立公園の中心にある。西は高社山と箱山支脈を境に中野市に隣接し、北は木島平村および下水内郡栄村に接している。また、南に笠ケ岳、三沢山を境として上高井郡高山村に接し、東は志賀高原をはさんで群馬県と県境をなしている。

四季折々の素晴しい自然に恵まれた志賀高原や北志賀高原と、温泉地として知られる湯量豊富な湯田中渋温泉郷を持つ本町は、周りを山地に囲まれた盆地であり、山林原野が93%(うち7割余が志賀高原)を占め、集落は河岸段丘や扇状地状の緩やかな傾斜地に発達している

明治22年の市町村制の施行とともに平穏・夜間瀬・穂波の三つの村によって構成されるようになった。その後、昭和29年4月平穏村が、平穏町となり、昭和30年4月、1町2村が合併して今日の山ノ内町となって現在に至っている。

引用:山ノ内町Webサイト(http://town.yamanouchi.nagano.jp/