株式会社山形銀行

KAITOセキュアレコーダの活用で
預かり資産業務における事務の効率化を実現
重要事項説明時の音声データを
より実効性のある証跡として
利用することも可能に

目的

預かり資産業務における重要事項説明品質の向上および説明を平準化するとともに、営業店の事務負担を軽減したい

概要
  • 株式会社山形銀行(以下、山形銀行)は、預かり資産業務における重要事項説明から応接記録システムへの入力、役付者・内部管理責任者による検証、承認までにいたる事務の効率化に着手した
  • スマートフォン上で録音した音声データを安全かつ効率的に行内共有できるツールとしてKAITOセキュアレコーダを導入した
  • 重要事項説明におけるトークスクリプトの改訂、重要事項説明時の音声録音、録音された応接記録確認の本部集中化の3つの施策を実行し、説明品質の向上および検証品質の平準化と事務負担の軽減を実現した
課題
  • 重要事項説明を適正に行った証跡を音声データで残したい
  • スマートフォン上で録音された音声データを安全かつ効率的に行内共有する術がなかった
選定理由
  • 音声データを安全かつ確実にサーバへ自動転送し、転送完了後、端末内のファイルを自動的に削除できる
  • 要件に合わせて柔軟にカスタマイズできる
  • 低コストに導入でき、機能と使い勝手にも優れている
導入の効果
  • 録音された音声データを端末内に残さない運用を実現し、情報漏えいリスクを極小化
  • 預かり資産業務1件あたりの営業店の事務時間を約30%削減

預かり資産業務における事務効率化に着手

システム企画部 デジタル戦略室
副調査役 村上雄太 氏

山形銀行は山形県を主要地盤とし、預金残高および貸出金残高ともに県内トップシェアを誇る地方銀行だ。「地域とともに成長発展し、すべてのお客さまにご満足をいただき、行員に安定と機会を与える」という経営理念のもと地域経済の発展に貢献し続けており、地元では「やまぎん」の愛称で親しまれている。

同行では2021年4月から2024年3月までを計画期間とする第20次長期経営計画のもと、「お客様とのつながりの強化」「事務の効率化」「ワークスタイルの変化」の3つを基本コンセプトとするデジタル戦略を推進している。その初期段階においてデジタル化の対象領域としたのが預かり資産業務における事務だ。

その範囲はどこからどこまでか。渉外行員が金融商品の販売にあたって商品内容を説明し、申込者である顧客から申込書類を受領し帰店。帰店後、応接記録システムに申込経緯や重要事項説明にかかる必要項目を入力する。その内容にもとづき、各営業店の役付者・内部管理責任者が説明の正確性、申込の妥当性検証にあたり、承認後、申込書などの証跡を保管するまでが一連のプロセスである。

システム企画部 デジタル戦略室 副調査役 村上雄太氏は、「預かり資産業務における事務には1件あたり約145分を要しており、そこをデジタル化により効率化できれば全体的な業務スピードへのインパクトは大きいと考えました。応接記録システムへの入力作業を省きつつも説明内容はしっかりと残し、証跡としての効力も高めたい、という方向性で手段を探る中、行き着いたのが音声録音です。われわれはデジタル戦略の一環として渉外行員に貸与するスマートフォンの業務活用も進めており、施策の第1弾として音声録音アプリがうまくはまるのではないかという期待もありました」と語る。


機微な情報を含む音声データの
漏えいリスクを抑制したい

山形銀行は、「重要事項説明におけるトークスクリプトの改訂」「重要事項説明時の音声録音」「録音された応接記録確認の本部集中化」という3つの施策を実行する方針を固めた。その後、スマートフォン上で録音された音声データを安全かつ効率的に行内共有できるツールの選定を開始。音声録音や金融機関などのキーワードでネット検索をかけていたところ目に留まったのがJMASのKAITOセキュアレコーダだった。これは、モバイルデバイス用のレコーダアプリと音声データのサーバ転送の仕組みをセットにしたパッケージだ。記録された音声データは即時に暗号化された上でサーバへ自動転送され、転送完了後、端末上のファイルは自動的に削除される。

村上氏は、「重要事項説明時にはお客様との取引内容や資産などに関連するセンシティブな内容の会話が交わされます。このため、音声データの漏えいリスクを抑制できることが重要な要件でした。KAITOセキュアレコーダを利用すれば機微な情報を含む音声データを端末内に残すことなく運用できます。価格はもちろん、機能と使い勝手のバランスが導入の決め手になりました」と話す。

山形銀行は2021年9月より新たな業務フローの策定とKAITOセキュアレコーダのカスタマイズを実施。同年10月より一部エリアの営業店にてトライアルを開始し、新しい業務フローにおける問題点の抽出と再設計、要件の洗い出しと実装に取り組んだ。

村上氏は、「スマートフォン上のアプリを実際の業務フローに持ち込むのは今回が初のケースでした。利用者にとって、取っ付きやすいものを提供したいという思いから、ユーザーインタフェースを一部カスタマイズしていただきました。技術面でつまずくことなくKAITOセキュアレコーダを短期間にリリースできました」と語る。


預かり資産業務の事務にかかる時間を約30%削減

山形銀行は約1カ月間のトライアルを経てKAITOセキュアレコーダを全店に展開し、すべての渉外行員がスマートフォンを使って安全に音声を録音できる環境を整えた。

営業企画部 個人戦略室 内田春菜氏は、「申込スタイルやトークの全てを音声で残したくないという行員の意思も尊重し、KAITOセキュアレコーダによる録音シーンを重要事項説明時のみに絞っています。実は、トークスクリプトの改訂には説明品質を平準化することで自身の応対を録音することへの行員の抵抗感を薄めたいという意図もありました」と話す。

現在、渉外行員は金融商品販売における重要事項説明時の会話を録音することについて顧客から了解を得た上でKAITOセキュアレコーダを利用している。録音終了後、音声データはクラウド環境に転送され、本部の担当者がそれを取得・確認する流れだ。結果、重要事項説明にかかる応接記録システムへの入力作業は不要になり、渉外行員の事務負担が軽減した。操作方法に関する問い合わせやクレームなどは一切ない。直感的に操作できるKAITOセキュアレコーダに対する行員の評価は上々だ。

事務統括部 金融商品チーム 石井裕美氏は、「KAITOセキュアレコーダでは音声データを端末内に残さない運用を強制できるため安心です。本部の担当者は、転送された音声データを取得・確認し、重要事項の説明内容に誤りや不足がないかどうかをチェックしています。より実効性のある証跡として音声データを利用できるようになったのも成果です」と語る。

山形銀行は、重要事項説明におけるトークスクリプトの改訂、重要事項説明時の音声録音、録音された応接記録確認の本部集中化の3つの施策により、説明および検証品質の平準化と事務負担の軽減という目的を達成した。預かり資産業務における営業店の事務時間は約30%削減したという。

村上氏は、「当面はKAITOセキュアレコーダの行内認知度を高め、さらなる定着化を図っていくことが目標です。ただ、KAITOセキュアレコーダによる業務改善の余地はまだまだあるでしょうし、音声認識ソフトによるテキスト化の仕組みもあれば活用の幅はさらに広がりそうです。利用者の意見の収集とニーズの掘り起こしにも取り組んでいきます」と話す。

営業企画部 個人戦略室 内田春菜 氏(左)
事務統括部 金融商品チーム 石井裕美 氏(右)

会社プロフィール

社名
株式会社山形銀行
本社
山形市七日町三丁目1番2号
URL
https://www.yamagatabank.co.jp/

山形銀行は山形県を主要地盤とし、預金残高および貸出金残高ともに県内トップシェアを誇る地方銀行だ。「地域とともに成長発展し、すべてのお客さまにご満足をいただき、行員に安定と機会を与える」という経営理念のもと地域経済の発展に貢献し続けており、地元では「やまぎん」の愛称で親しまれている。