岡山市水道局

KAITOセキュアカメラの導入で
水道局職員と修繕対応業者間での
迅速かつ安全な情報共有を実現
道路漏水の修繕対応プロセスを
大幅に効率化し、情報漏えい対策も強化

目的

道路上での漏水修繕対応プロセスにおける情報共有の非効率を解消するとともに、情報漏えい対策も強化したい

概要
  • 岡山市水道局では道路漏水が発生した際の修繕対応業者との情報共有を電話とFAXで行っていた
  • 従来のやり方では漏水現場の状況を正確につかむことが難しく、水道局職員の現場立会などを要し、結果として修繕対応の長時間化傾向が課題となっていた
  • 個人情報を含む紙資料の取り扱いについて情報漏えいのリスクがあった
  • 修繕対応業者との情報共有を迅速かつ安全に行うためのツールとしてKAITOセキュアカメラを導入した
  • 情報共有の主な手段をKAITOセキュアカメラに置き換えたことで漏水修繕対応プロセスが大幅に効率化した
課題
  • 非効率な情報共有スタイルが修繕対応を遅らせる要因になっていた
  • 紙による情報共有には紛失による情報漏えいリスクがあった
選定理由
  • 画像や動画で視覚的な情報共有を行える
  • 情報漏えい対策と運用面においてすべての要件をクリアした
  • すぐに試行運用を開始でき、JMASから十分なサポートを得ることもできた
導入の効果
  • 修繕対応業者との情報共有プロセスが迅速化し、修繕対応にかかる時間を大幅に削減できた
  • 水道局職員は対処方法や現場立ち合いの要否についてより適切な判断を下せるようになった
  • 修繕完了の報告シーンにおいて施工後の写真や動画を共有するケースが増えた
  • 情報漏えい対策を強化できた

漏水修繕対応の迅速化が狙い

岡山市水道局は、岡山市への上水及び工業用水の給水を行う岡山市の地方公営企業である。「ゆるぎない安心と信頼の追求」という基本理念のもと、安全でおいしい水の追求、水の安定供給と強靭性の確保、満足度を高めるサービスの充実、持続可能な水道システムの構築の4つの基本施策にもとづき事業を推進している。

同局がかねてより問題視していたのは、道路漏水の修繕対応プロセスにおける情報共有の非効率である。実際に、市民から道路漏水の通報が入ると修繕対応業者に現場へ出動してもらうが、水道局職員への現場状況報告はこれまで電話にて行われてきた。報告内容は主に漏水箇所や漏水量、道路幅、危険予知に関連する伝達事項などだ。その内容をもとに水道局職員が対処方法を検討するが、そもそもこのやり方では発話者による表現の差異があるため、現場の状況を正確に把握できないケースも多い。その場合どうするか。水道局職員が現地に赴き、漏水状況を視認してから対処方法を指示せざるを得ず、修繕対応の遅れが生じかねない状況であった。

配水課 技師 林 高史氏は、「道路上の漏水では断水や浸水、道路陥没などの二次災害につながる恐れがあり、迅速な修繕対応が求められます。ただ、口頭のみでの報告スタイルでは状況を正確につかむことが難しく、本来は立ち合い不要の軽微な業務案件について水道局職員が現場に立ち会うこともしばしばありました。片道1時間以上もかかる山間部なども給水区域に含まれるため、出動準備や移動に伴う時間的なロスは軽視できません」と語る。

また、同局では漏水現場付近の水道管の埋設情報や、水道使用者名、住宅の水道配管図といったプライバシーにかかわる情報が記された図面などを修繕対応業者に送付する手段にFAXを用いてきた。ただ、紙による情報共有には紛失などによる情報漏えいリスクが付きまとう。加えて、それらの情報はいったん事務所を経由してから現場作業員の手元に送られる。それも修繕対応を遅らせる要因だったという。

経営管理課 主事 逢澤 優人氏は、「われわれは以前より、出先からも管路情報などを確認できるよう水道局職員にiPadを貸与しています。iPadの利用を前提に、漏水修繕対応プロセスにおける情報共有の非効率を解消するためのツールを検討することにしたのです」と話す。

岡山市水道局 経営管理課 主事 逢澤 優人氏(左)
岡山市水道局 配水課 技師 林 高史氏(右)

画像や動画による視覚的な情報共有がカギ

岡山市水道局は、修繕対応業者との情報共有を迅速かつ安全に行えるツールがないかどうかiPadの回線契約先である通信キャリアに問い合わせてみた。するとすぐに返答があり、JMASのKAITOセキュアカメラを紹介されたという。

林氏は、「われわれの要望に適うツールであると思いました。画像や動画を使った視覚的な情報共有が最も正確で有効と考えていたためです。情報漏えい対策や運用面でも不足はありません。撮影された画像などはサーバへ転送完了後に端末から自動削除され、撮影者側にデータの取り扱いについてのストレスや負担を強いることもありませんから」と語る。

同局では新たなツールの導入にあたり、まずはユーザによる使い勝手の確認と活用事例の収集を目的とした試行運用を行い、確かな実用性を備えているかの検証を行うこととした。そこで2022年8月より、岡山市内7エリアのうち1エリアに絞ったトライアルを行い、効果の測定と有用性の評価を実施。その後、対象エリアを1つ追加し、ユーザの反応を見ながら使用イメージを固めていった。

逢澤氏は、「JMASは検証環境としてのクラウドを速やかに提供してくれたため、すぐに試行運用を開始できました。問い合わせ対応が早く、必要な機能を速やかに追加していただいたことが印象的です。KAITOセキュアカメラはわれわれにとって最良の選択だったと言えるでしょう」と話す。


修繕完了報告シーンでも
KAITOセキュアカメラを活用

岡山市水道局は2023年8月、市内全エリアで水道局職員がiPad等でKAITOセキュアカメラを利用できる環境を整えた。利用開始から定着化までのフェーズは滞りなく進んだ。操作方法や使用ルールなどを記したマニュアルを事前に対象者に配布し、使用イメージをつかみやすいようにしたためだ。一方、修繕対応業者については現場作業員のモバイル端末にライセンスを貸与するスタイルでの運用である。いまでは、修繕対応業者の90%以上がKAITOセキュアカメラを利用して漏水現場状況の報告を行っているという。

逢澤氏は、「KAITOセキュアカメラは標準のカメラアプリと同じように使えるため、操作方法に関する問い合わせはほとんどありません。水道局職員と修繕対応業者双方の主要な情報共有手段を電話やFAXからKAITOセキュアカメラに置き換えたことで漏水修繕対応プロセスが効率化しました」と話す。

現場作業員は、漏水現場の状況を画像や動画という形でありのままに伝えることが可能に。水道局職員も現場状況を正確につかめるため、対処方法や現場立ち合いの要否についてより適切な判断を下せるようになった。結果として、水道局職員による立ち合いが不要となるケースが多くあり、年間にして300回分の出動を抑止できる見込みだ。

林氏は、「水道局職員は本アプリ導入で削減できた時間を、安全で安定的な水道水の供給という業務上の本質的な課題に充てられるようになりました。モバイル端末に画像や動画を残さない運用も実現しています」と語る。

当初想定していなかった使い方も出てきている。これまで修繕対応業者による完了報告についてはFAXでの形式的な報告書の送付にとどまり、施工後の舗装の擦り付け具合などを視認できなかった。いまでは修繕完了の報告シーンにおいて施工後の写真や動画を共有するスタイルが見受けられるようになった。道路整備に不備がないかどうかを水道局職員が即時に目視チェックできるようになったのも大きな成果だ。

逢澤氏は、「KAITOセキュアカメラは、漏水修繕対応プロセスにおける情報共有基盤としていまや不可欠です。今後は、道路陥没などを未然に防ぐための水道管の漏水調査や、万一の災害発生時における浄水場などの施設・設備の点検シーンでも活用したいと考えています」と話した。


会社プロフィール

社名
岡山市水道局
本社
岡山県岡山市北区鹿田町二丁目1番1号
URL
https://www.water.okayama.jp/

岡山市水道局は、岡山市への上水及び工業用水の給水を行う岡山市の地方公営企業である。「ゆるぎない安心と信頼の追求」という基本理念のもと、安全でおいしい水の追求、水の安定供給と強靭性の確保、満足度を高めるサービスの充実、持続可能な水道システムの構築の4つの基本施策にもとづき事業を推進している。