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2021年01月25日

AWS移行プロセスシリーズ第1回:移行準備フェーズ

みなさま こんにちは、JMASの島田です。

クラウド利用の目的は様々ありますが、新規システムやフロントシステムなど部分的にクラウドの利用を開始している企業は多くいらっしゃいます。その企業のなかで次のステップとして、基幹システムやOA系システムなどのコア業務をクラウドへの移行検討が進んでおり、弊社への相談も増えております。

AWSへの移行を成功させるためには、目的を明確にする必要があります。
システムやステークホルダーが増えることで煩雑になりがちですが、何が課題で、どのように解決し、どうなりたいか、きちんと整理することが大切です。

【よくある移行目的】

  1. コスト削減       :HWやDC撤廃、運用自動化など
  2. 事業継続対策      :システム分散配置、グローバル展開
  3. ビジネス機会損失対策  :リソース拡張柔軟性、伸縮自在性など
  4. ビジネススピードアップ :サーバ調達スピード、DevOpsなど
  5. DX促進        :IoT、ビッグデータ、AIなど

また、DXの推進が叫ばれている中、システムをAWSへ移行しハードウェア、ファシリティ管理、突発的なハードウェア障害等の業務から解放されることは、DXの第一歩になると考えており、AWSへの積極的な移行を推奨しております。

今回のコラムでは、複数のシステムで、それぞれ別のオーナが存在する場合のAWS移行プロセスについて、3回にわたりご紹介いたします。

▼AWS移行シリーズ
第1回:移行準備フェーズ(本コラム)
第2回:移行フェーズ
第3回:運用&最適化フェーズ

第1回 移行準備フェーズ

移行準備フェーズは、以下のステップで進めていきます。

<INDEX>
1)事前調査
2)移行方式検討
3)全体設計
4)移行プラン作成

移行元システムに対する調査を実施し、移行対象システムの洗い出し、およびコスト調査を実施いたします。

【現状調査】
移行対象システムの洗い出し

  • H/W、S/W構成やスペック、利用状況、ライセンス条件など
  • システムのネットワーク構成/アドレス設計、NW機器情報も
  • 可用性レベルと実現方式
  • システム連携(社内/社外)
  • 運用保守項目/体制

【コスト調査】
現状と移行後のコスト比較(AWSの課金体系を正しく評価して算出)

  • AWSコスト最適を意識(RI活用、随時停止、オンデマンド拡張)
  • セキュリティコスト(災対環境、脆弱性対策はオンプレミスでは大きなコストに)
  • リプレースコスト(オンプレは数年に一度のリプレース)

洗い出した移行対象システムに対して、何をどこまでAWSに合わせるか、検討を行います。
AWS最適化は “運用負荷/コスト”は軽減されますが、“移行難易度”は高くなります。そのため、多くのユーザは絶対に変えなければならないもの以外は、そのまま移行し、その後にじっくり最適化(Lift & Shift)を実施することがこれまでは定石でした。

絶対変えなければならないもの例

  • ハードウエア装置(ストレージ、ネットワーク機器)
  • AWSサポート外のOSやソフトウエア

<AWS最適化によるメリットと移行の難易度のバランス>
AWS最適化は運用のメリットが大きいのですが、移行の難易度は高くなります。また、AWS最適化による変更はクラウド化が停滞する可能性が大きいです。

左がそのまま移行で右へいくほどAWS最適となり、
一番左はサーバレスなどで作り変えるという“クラウドネイティブ”状態を指しています。

移行の目的を踏まえ、実際の移行の戦略立案となりますが、実はオンプレミスをそのままAWSへ移行できないケースは多くあります。その場合、移行できない理由に応じて戦略を立てる必要があります。移行を体系化しているのがAWSで良く言われる「移行パターン7R」です。

<移行パターン 7R>

多くのシステム、多くのオーナに対する全体統制が重要になるため、統制されたAWS環境の構築が必要となります。そのためには、以下の設計が必要です。

  1. AWSアカウント構成
  2. A) 本番/開発、社内向け/社外向けなどでアカウントを分離
    B) 全てのアカウントを同一の統制ルールで一括管理(アカウント統合管理、LandingZone統制)

  3. ネットワーク
  4. A) プライベートネットワーク(VPC、CIDER、サブネット)
    B) 災害対策(Multi AZ)
    C) 外部接続(Direct Connect、インターネットVPNなど)
    D) 負荷分散(ELB)、サーバのスケーリング(Auto Scaling)
    E) WAF、IDS、IDPなどのセキュリティ対策

  5. 運用管理
  6. A) 運用管理ツール
    B) 運用基盤の共通化の検討(監視、バッチ、ログ管理など)

  7. AWS標準構成
  8. A) クラウドデザインパターン適用
    B) マネージドサービスの活用レベル

  9. セキュリティポリシー
  10. A) 既存のポリシーとAWS最適との兼ね合い

  11. AWS環境の提供フロー
  12. A) 申請、アカウント発行、環境デプロイ、ユーザ提供

  13. 課金管理

移行方式、全体設計で定義した内容に加え、システム重要度、ビジネスインパクト等を考慮し移行プランを作成します。移行プランを作成するにあたり、課題、懸念事項などについては、PoC等を実施し、移行フィージビリティの確認を実施します。

おわりに

これまでオンプレからクラウドへ移行する場合は、オンプレのシステムをそっくりそのままクラウドへ移行(Lift)した後、クラウドのマネージドサービスを徐々に利用し、クラウド最適化(Shift)するLift & Shiftが定石でした。企業のニーズが変わり、単純Liftだけでなく、OS・ミドルウェアのバージョンアップまで希望するお客様が増えております。

JMASは、アプリケーションエンジニアが多数在籍しノウハウを保有しており、AWS移行と共にアプリケーションバージョンアップをクイックにワンストップで対応可能です。

また、難易度が高いShiftにおいてもJMASでは、AWS上に統制された共通基盤環境構築するために「J-COS 運用共通プラットフォームサービス」を提供しており、AWSを最適に活用できるテンプレートを有しております。企業の目的に応じたサービスを用意しているため、全体設計をゼロから作るのではなく、「早く、安く、安心」してAWSを最大限活用頂くことが可能となります。

【J-COS 運用共通プラットフォームサービス】AWSに最適な運用共通基盤をスピーディかつ安価に提供

移行に関する資料もありますので、興味のある方は、お気軽にお問合せください。

AWS活用支援サービス

次回以降で、共通基盤の構築内容や、移行方法についてご紹介していきます。
楽しみにしていてください!!