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- ヤンマーホールディングス株式会社
AWSをプラットフォームとする
生成系AIの検証から本格活用へ

目的
生成系AIの検証環境を用いて実務に即した効果的なユースケースを創出・業務適用し、社内DXの推進とカスタマーエクスペリエンスの向上を実現したい
- 概要
- ヤンマーホールディングス株式会社(以下、ヤンマーHD)は、DXに対応する次世代経営基盤の構築を目指す中でAmazon Web Services(以下、AWS )をプラットフォームとする生成系AIの活用に向けた取り組みを始め、本格活用へ至っている
- Amazon KendraとAmazon Bedrockの基盤モデルを組み合わせたRAGシステムを構築し、当初生成系AIの検証をグループ内でテストケースを募るところから開始した
- 生成系AIを活用できる効果的なユースケースの創出が進み、多様な部門で活用されている
- 課題
- スケースで効果を発揮するか、また技術的難易度について不明瞭な点が多く、これらを明らかにする必要がある
- 選定理由
- AWS Partner Network(APN)コンサルティングパートナーとしての実績と総合力
- 生成系AIの専任コンサルタントがプロジェクトを伴走支援するサポート体制
- 効果
- いくつかのユースケースを通して、生成系AIをどのように業務適用できるか、その期待や効果などのノウハウを自社内に蓄積できた
- 生成系AIを内製で推進できるスキルトランスファーを受けることができた
生成系AIの活用で競争優位を獲得したい

部長 山根 寛司 氏
ヤンマーHDは1912年に大阪で創業し、1933年に世界で初めてディーゼルエンジンの小型実用化に成功した産業機械メーカーである。小型エンジン、大型エンジン、農業関連、建設機械、エネルギーシステム、マリン、工作機械・コンポーネントなど幅広い事業をグローバルに展開。ブランドステートメントとして掲げる“A SUSTAINABLE FUTURE”の実現を目指している。
ヤンマーHDでは、2022年度を開始年度とする3カ年の中期計画「Change & Challenge MTP2025」において2025年度に向けた6つの戦略課題を実行している。その柱の1つがDXに対応する次世代経営基盤の構築である。2022年、DX推進の旗振り役として新たに立ち上がったのがデジタル戦略推進部だ(その後、AI活用の拡大によりAIチームが現在のAI戦略推進部として分離)。
デジタル戦略推進部 DX推進グループ 課長(当時/現在はAI戦略推進部 部長) 山根 寛司氏は、「企業競争力の強化においては、社内に蓄積された膨大なデータを有効に活用することが欠かせません。そこでわれわれは過去から取り組んでいたAIを用いたデータ分析・活用の取り組みを2022年に大きく加速しました。グループ全社の現場スタッフで構成されるDXコミュニティからAI活用に関連するアイデア・テーマを募り、著名な生成系AIサービスを活用した検証を行っています。ただ、特定の生成系AIサービスに固執しないことがわれわれの基本スタンスです。AWS をプラットフォームとする生成系AIの活用にも乗り出し、本質的な業務改善につながるユースケースを発見したいと考えたのです」と語っている。
生成系AIの活用を伴走型で支援できるJMASを選定

齊藤 裕太 氏
当時デジタル戦略推進部は、AWSをプラットフォームとする生成系AI環境の構築にあたってベンダーの協力を仰ぐことにした。その後、AWSのパートナープログラムを通じて紹介されたJMASを、AWSでのシステム構築の実績、技術力、サポート体制などのさまざまな項目で評価。結果、生成系AI活用のパートナーにJMASを選定した。
デジタル戦略推進部 DX推進グループ(当時/現在はAI戦略推進部) 齊藤 裕太氏は、「ベンダー選定の前提条件は、生成系AIの検証をスピーディに展開できる知見と技術力、サポート体制を有していることです。JMASの提案にはスピード感と説得力があり、生成系AI専任コンサルタントがAWS上での検証環境の構築からソースデータの整備、ユースケースのPoC実施、有用性評価までの一連のプロセスを並走支援してくれることにも魅力を感じました」と話す。
2023年11月より、検索エンジン「Amazon Kendra」と生成系AIサービス「Amazon Bedrock」の基盤モデルを組み合わせたRAGシステムの構築を開始した。Amazon Kendraのインデックスを作成する場面では、JMASのコンサルタントとの共同作業を通じてデータソースとなるS3バケットや検索対象データを準備するための要点を短期間に押さえることができたという。JMASのコンサルタントとともにデータを整形し、生成系AIの回答精度を高められたのもメリットだ。
デジタル戦略推進部 DX推進グループ(当時) 下瀬 可歩氏は、「JMASはチャットや電話での問い合わせ対応が早く、われわれに疑問や誤解を残さないコミュニケーションを心がけてくれました。それが手戻りによるスケジュール遅延を起こすことなく開発を進められたポイントです。JMASにはS3上のデータへのアクセス権限の設定だけでなく、生成系AIを利用するためのWeb UIについて難しいと思われるカスタマイズにも対応していただきました。テーマ検証と評価のオペレーション支援も含め、プロジェクトパートナーとしてしっかりと寄り添ってくれたことに感謝しています」と語る。
生成系AI活用のノウハウとユースケースの蓄積が肝要
DXメンバーが生成系AIの検証環境を利用することで、社内情報の柔軟な検索と効果的なユースケースの発見に向けた取り組みを開始できたのは大きな成果である。今ではDXコミュニティから80以上のテーマを創出し、既に多くの業務で活用されている。
齊藤氏は、「非常に広い部門で利用されており、エンジン事業やトラクター事業などでの品質管理、製造関係、コンタクトセンター、お客様対応など多様な部門で活用されています」と話す。
AI 戦略推進部では、生成系AIを活用して社内DXを推進することにより、デジタル化による業務効率化を実現し、人的リソースや資金、時間を、カスタマーエクスペリエンスを向上させるための活動に振り向けていきたいと考えている。
山根氏は、「生成系AIに関連する知見や実践的なユースケースを着実に積み上げていくことが他社との差別化戦略として重要です。生成系AIの活用をより本質的な価値創出や企業成長につなげていくため、われわれは今後もJMASに対してコンサルタントという立ち位置でのサポートと、AWSの進化に追従するための技術支援を求めていきます」と話した。
※AWS公式サイト 公開事例
「ヤンマーホールディングス、社内の生成 AI 活用を拡大。統合ナレッジ検索で社内に蓄積された情報を広く共有し、効率向上と技術継承の課題に挑む」
会社プロフィール

- 社名
- ヤンマーホールディングス株式会社
- 本社
- 大阪府大阪市北区茶屋町1-32
- URL
- https://www.yanmar.com/
ヤンマーHDは1912年に大阪で創業し、1933年に世界で初めてディーゼルエンジンの小型実用化に成功した産業機械メーカーである。小型エンジン、大型エンジン、農業関連、建設機械、エネルギーシステム、マリン、工作機械・コンポーネントなど幅広い事業をグローバルに展開。ブランドステートメントとして掲げる“A SUSTAINABLE FUTURE”の実現を目指している。























