株式会社TTK

DX推進のカギとなる生成AIの内製化に向け、
Azure OpenAIを活用したChatGPTの
検証をJMASと実施
~生成AIの検証、評価、改善の
サイクルを高速に回し、
効果的なユースケースを創出~

目的

生成AIの内製化を進め、効果的なユースケースの創出とビジネスへの適用領域の探索を進めたい

概要
  • 株式会社TTK(以下、TTK)の開発・研修センタは、DX推進の一環としてAzure OpenAI Service(以下、Azure OpenAI)を活用したChatGPTの検証プロジェクトを立ち上げた
  • 現場作業における安全管理やリスク予見、開発・研修センタのヘルプデスク業務に生成AIを活用できるかどうかを検証テーマとした
  • 生成AIのPoC支援に実績のあるJMASをパートナーに指名し、専任コンサルタントによる伴走型支援を受けた
  • JMASから提供された生成AIの検証環境を利用し、ITトラブルなどに関連する社員からの問い合わせに対して自動回答する生成AIチャットボットを開発した
  • 生成AIの内製化を進め、複数のユースケースを実運用化した
課題
  • 施工従事者は作業を安全に行うために、日々マニュアルや作業手順書、操作説明書などを確認しているが、紙ベースの文書や電子ファイルの検索に時間と労力がかかっていた
  • 社内の業務システムやIT機器に関連する問い合わせ対応を省力化したかった
  • Azure OpenAI を活用したChatGPTの検証環境の構築からソースデータの整備、ユースケースのPoC実施、有用性評価までの一連のプロセスを効率的に遂行するための知見と技術力を得たかった
選定理由
  • 生成AIの検証環境の使い勝手、技術力、コスト、実績などの総合力
  • 生成AIを熟知する専任コンサルタントがプロジェクトを伴走支援するサポート体制
効果
  • 生成AIチャットボットを全社展開したことにより、開発・研修センタへの社員からの問い合わせ件数が大幅に減った
  • 生成AI活用におけるスキルアップとノウハウの拡充を図ることができた
  • KY活動(危険予知活動)などにおける生成AIの実運用化に向けた検証プロセスを自走できる体制を構築できた

KY活動とヘルプデスク業務に
生成AIを適用したい

開発・研修センタ
新井 健太 氏

TTK は宮城県仙台市に本社を構え、東北6県を支える電気通信設備の設計、施工、保守、コンサルティング業を営む情報通信エンジニアリング会社だ。事業領域は広く、情報通信ネットワークの構築事業、安全で快適なICT環境を実現するICTソリューション事業、環境に配慮した商品の開発・提供を行う環境インフラ事業、モバイルネットワークのインフラ構築・保守を担うモバイル事業、公共施設や病院などを対象とする電気工事事業なども展開。地域の豊かな暮らしと経済の発展に貢献している。

TTKは、2022年度を開始年度とする5カ年の中期経営計画においていくつかの成長戦略を実行している。その柱の1つである「データインサイトマネジメント」は、攻めと守りの両輪のDXを推進することで競争力強化と業務効率化を実現し、持続的成長につなげる構想である。その取り組みの中で社内のシステム開発やDX推進を担う開発・研修センタが目をつけたのが生成AIだ。

開発・研修センタ 新井 健太氏は、「施工従事者の安全と健康の確保により一層配慮した施工体制を実現することは、われわれにとって切実な課題です。生成AIを現場作業における安全管理やリスク予見などに活用していきたいという思いが今回の生成AI検証プロジェクトの出発点でした」と語る。

同セクションが生成AIの検証対象業務としたのはKY活動だ。これは、建設現場内に潜んでいる危険な作業や場所などを洗い出し、事前にリスクを排除することで労働災害を防止する取り組み全般を指す。新井氏は、「施工従事者は日々、作業計画にもとづいてマニュアルや作業手順書、操作説明書などを確認し、危険に対する感受性を高めて安全に作業を行っています。ただ、確認すべき情報は、紙ベースの文書や電子ファイルに散在しており、必要な情報を探し当てるのに相当な時間と労力を要してしまいます。1日の作業内容にかかる危険有害要因について生成AIに質問するだけで必要な回答を得られる仕組みを構築できるかどうかを検証したかったのです」と話す。

また、開発・研修センタのヘルプデスク業務での生成AIの活用も検討事項とした。業務システムやIT機器の操作、ネットワーク不具合などに関する社員からの問い合わせに対して自動回答する生成AIチャットボットを構築できればヘルプデスク業務の省力化が期待できるためだ。

新井氏は、「生成AIの検証、および実用化で他社に後れをとるわけにはいきません。ただ、Azure OpenAI を活用したChatGPTの検証をゼロからスタートしようとすると、技術的なハードルだけでなく、生成AIの特性を理解することも難題です。必要な技術力と知見を外部から補うべく、生成AIの導入・活用支援に実績のあるベンダーに協力を要請することにしたのです」と話す。


生成AI専任コンサルタントの
スキルとノウハウを吸収したい

開発・研修センタ
小野 郁恵 氏

開発・研修センタは2023年9月、Azure OpenAI を活用したChatGPTの検証プロジェクトを立ち上げた。その後、複数のベンダーに声をかけ、それぞれの提案内容の比較・検討を実施。各社が提供する生成AIの検証環境の機能やカスタマイズの柔軟性だけでなく、技術力、コスト、実績なども評価した結果、総合力でJMASを選定した。

選定の決め手の1つは、生成AIの検証環境の構築、検証アプリケーションの提供からソースデータの整備、PoC実施、有用性評価までの一連のプロセスを伴走支援できるサポート体制を有していることだ。なぜなら、生成AI専任コンサルタントとのプロジェクト経験を通じて生成AI活用のスキルとノウハウを自社に蓄積し、内製化を図ることも狙いだったためだ。

生成AIの検証環境については、直感的なWeb UIを介して生成AIモデルのパラメータチューニングを容易に行える点や、用途に応じて生成AIモデルを簡単に差しかえられる点も評価。また、コンサルタントの的確な助言をもとに検証プロセスを進められたことも利点だ。当初は、生成AIが建設業界特有の用語や言い回し、文脈を取り違え、誤った回答を生成してしまうケースもあったが、データの取り込み方法やプロンプトを見直すことで回答精度を高めることができた。FAQ/Q&Aや業務システムのマニュアルなどを生成AIの学習に適したデータ形式に整形した経験も後の検証作業に生かされているという。

開発・研修センタ 小野 郁恵氏は、「日々進化する生成AIの検証プロセスはスピード感を持って進めることが重要です。JMASはプロジェクトを力強くリードし、週1回の定例会でも行き詰まりの要因や疑問を速やかに解消してくれました。われわれの初歩的な質問にも快くこたえ、心理的安全性を高めてくれたおかげで生成AI活用におけるスキルアップとノウハウの取得に心置きなく取り組めました」と話す。


生成AIチャットボットをはじめとする
複数のユースケースを実運用化へ

開発・研修センタはJMASとの検証プロジェクトを終えた。結果、実運用フェーズに至ったのは、社員による同セクションへの日常的な問い合わせや定型的な質問の一次対応を担う生成AIチャットボットだ。

小野氏は、「生成AIチャットボットにより、多くの社員が情報システム関連の身近な問題やトラブルを自身で解決できるようになったようです。開発・研修センタへの問い合わせ件数は減り、ヘルプデスク担当者の業務負担が軽減しました」と話す。

一方、KY活動での生成AIの仕組みについて、現段階では実運用フェーズに乗せるのは難しいという見解に至った。正確性を欠く回答が提示されたり、もっともらしい誤回答が生成されたりするリスクに対する技術的な備えと社員教育が不十分という判断だ。

この点について新井氏は、「人命に直結するKY活動において誤った情報をもとに意思決定や行動選択が行われてしまうことは絶対に避けなければなりません。ただ、われわれはハルシネーションが起こる問題を踏まえて今もチャレンジを続けています。大前提となるのはアウトプットの精度を最大限に高めることです。その上で図表や画像を含め、回答の根拠となった参照ファイルのリンクも提示することで質問者が即時にファクトチェックできる仕掛けも用意したいと考えています」と展望を語る。

生成AIの検証、評価、改善のサイクルを自走できるようになったのも狙いどおりだ。開発・研修センタではJMASとのプロジェクト後、すでにいくつかのアイデアについてPoCを実施済みで、実運用化にこぎつけたものもある。たとえば、人事評価や福利厚生、健康管理、採用などに関連するFAQ/Q&Aや、電子マニュフェストのマニュアルを生成AIに取り込み、人事業務や産業廃棄物管理業務にかかる社員からの問い合わせ対応を自動化する生成AIチャットボットを運用中だ。

新井氏は、「生成AIの活用を定着化させるためには効果的なユースケースを積み上げ、そのメリットを社内に周知していくことが欠かせません。今後は画像や音声といったマルチモーダルの活用も視野に入れ、さまざまな業務の助けとなる生成AIの仕組みを順次展開していきます。JMASには、今後もAIなどの最先端技術を活用したいときに真っ先に相談できるパートナーとして常に寄り添ってほしいと考えています」と話した。


会社プロフィール

社名
株式会社TTK
本社
仙台市若林区新寺1丁目2-23
URL
https://www.ttk-g.co.jp/

TTK は宮城県仙台市に本社を構え、東北6県を支える電気通信設備の設計、施工、保守、コンサルティング業を営む情報通信エンジニアリング会社だ。事業領域は広く、情報通信ネットワークの構築事業、安全で快適なICT環境を実現するICTソリューション事業、環境に配慮した商品の開発・提供を行う環境インフラ事業、モバイルネットワークのインフラ構築・保守を担うモバイル事業、公共施設や病院などを対象とする電気工事事業なども展開。地域の豊かな暮らしと経済の発展に貢献している。