- 森永乳業株式会社
「守りのIT」から「攻めのIT」への
転換を図るため、AWS活用の
戦略的パートナーにJMASを指名
複数のPoCプロジェクトを
迅速かつ低コストに実施し、
企業価値と競争力を高めるIT活用を推進
目的
戦略的なIT活用を進め、中長期的な企業価値の向上と競争力の強化を実現したい
- 概要
- 森永乳業株式会社(以下、森永乳業)は、Amazon Web Services(以下、AWS)のさらなる活用を軸に、業務効率化とコスト削減を目的とした「守りのIT」から、企業価値の向上と競争力の強化に結びつく「攻めのIT」へシフトチェンジすることを目指している
- いくつものコンセプトやアイデアをすばやく具現化して技術検証を行うパートナーにJMASを指名した
- 「生活習慣サポート110番」はPoCを経て本番移行したものの1つで、顧客の食生活相談を電話にて受け付ける窓口になっている
- 課題
- AWS上でいくつものコンセプトやアイデアを具現化し、効果や実現可能性などをすばやく検証するためのリソースが不足していた
- 選定理由
- AWS上でのシステム構築・開発、およびアジャイル型開発の経験と実績が豊富
- AWS Partner Network(APN)コンサルティングパートナーとしての総合力
- PoCプロジェクトを共同で進められるサポート体制
- 効果
- 攻めのITへの第一歩を踏み出すことができた
- コンセプトが要求する仕様や検討課題の洗い出し、効果と実現可能性の検証を迅速かつ低コストに実施できた
- 複数のPoCプロジェクトを通じて基礎的な技術やノウハウを獲得できた
攻めのITへの転換を
森永乳業は、牛乳、飲料、ヨーグルト、アイスクリーム、チーズ、流動食、育児用食品などの研究開発、製造、販売を中核事業とする総合乳業メーカーだ。牛乳本来のコク、キレのあるのどごしの「森永のおいしい牛乳」、チルドカップコーヒー「マウントレーニア」、ひとくちサイズのアイスクリーム「ピノ」、ビフィズス菌BB536を配合した「ビヒダス ヨーグルト」などのブランドは多くのファンに親しまれている。2017年9月に創業100周年を迎えるにあたっては、コーポレートスローガンを「かがやく“笑顔”のために」に一新。乳で培った技術を活かし、心とからだの両面からお客さまの健康を支え、幸せな生活に貢献することで笑顔あふれる豊かな社会をつくることを目指している。
そんな同社では2018年6月、情報システム部門をIT戦略企画と業務改革に特化したIT改革推進部と、システム開発、保守運用、支援を主とする情報システムセンターの2つの組織に再編。DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進に向け、ITインフラのクラウドシフトに取り組んできた。
経営戦略本部 IT改革推進部 マネージャー(戦略企画チームリーダー)北條氏は、「われわれは2019年3月 より、業務効率化とコスト削減を目的に、オンプレミスのITシステムのAWS移行を段階的に進めてきました。しかし、この『守りのIT』を強化するだけでは激しい市場競争を勝ち抜くことが困難です。中長期的な企業価値向上と競争力強化に結び付く戦略的なIT活用、すなわち『攻めのIT』への転換こそが必要と考え、クラウド活用を推進する専門組織CCoE(Cloud Center of Excellence)を設置しました」と語る。
一般にAWSでは、新規事業や新サービスの立ち上げにあたってスピードとコストの両面でPoC( Proof of Concept )を行いやすい。ITリソースの調達にかかるリードタイムはほぼなく、ハードウェアを自前で用意する必要もないため、目論みが外れた場合も比較的容易に撤退できるためだ。しかし、同社にはAWS上でいくつものコンセプトやアイデアを具現化し、効果や実現可能性などを検証するといった攻めのITを実行するためのリソースが不足していた。知識と技術力を補い、PoCを強力に牽引してくれるパートナーが必要だったのだ。
AWSとアジャイル型開発を熟知するJMASを選定
森永乳業はAWSのパートナープログラムを通じて出会ったJMASを、AWSでのシステム構築・開発の経験と実績、技術力、社会的信用力、サポート体制などのさまざまな項目で評価。結果、JMASをAWS活用の戦略的パートナーに指名した。
経営戦略本部 IT改革推進部リーダー 豊島氏は、「AWS Partner Network(APN)コンサルティングパートナーのJMASは、AWSのコンサルティングからインフラ構築、アプリケーション開発、運用までをワンストップで提供できるベンダーです。AWSマネージドサービスを知り尽くすJMASの提案には助力を仰ぎたいと思わせる説得力がありました」と話す。
今回のプロジェクトで期待されたのは、ざっくりとしたコンセプトやアイデアについて技術検証を行い、投資に対して十分な効果が得られたものを実装に落とし込むことだ。このプロセスでは細かな軌道修正を繰り返しながらシステムの完成度を高めていくアジャイル型の開発アプローチが前提になる。アジャイル型開発の豊富な経験と実績もJMASが評価されたポイントだった。
プロトタイプでイメージを共有し、
検証とフィードバックのサイクルを高速に回す
森永乳業のCCoEがJMASと取り組んだPoCプロジェクトは、すでに10件以上にのぼっている。PoCの結果、投資対効果などの観点で継続できないと判断されたものもあるが、同社にとって攻めのITへの第一歩を踏み出せたメリットは大きい。
経営戦略本部 IT改革推進部 マネージャー(CCoE推進リーダー)楠木氏は、「JMASは各プロジェクトにおいて、われわれの意図をしっかりとくみとった上でスピーディにプロトタイプを作成してくれました。それをもとにイメージをつかみながら、効果や実現可能性の検証、コンセプトが要求する仕様や検討課題の洗い出しなどを迅速かつ低コストに行うことができました。JMASとのPoCプロジェクトの結果には確かな手ごたえを感じています」と話す。
PoCを経て本番移行したものもある。その1つが2019年9月にスタートした「生活習慣サポート110番」だ。これは、同社が「幅広い年代の顧客の健康課題解決に貢献したい」という思いから開設したサポートダイヤルで、管理栄養士が血圧、血糖値、血中脂質に関する食生活相談を電話にて受け付けるサービスだ。同相談窓口については「トリプルヨーグルト」「トリプルヨーグルト ドリンクタイプ」のパッケージに記載されている。
従来のやり方によるコールセンター開設ではIVRの導入などを含め、開発着手からリリースまでに最短でも3カ月を要した。ただ、今回はプロジェクトではAmazon connectなどのAWSのサービスを利用することで開発期間とコストを抑制。実用に耐えうるクラウドネイティブなコールセンターをわずか1カ月で公開できたという。
楠木氏は、「当初の予定を1カ月も前倒しするスピードで公開できたのは、JMASがPoCの検証とフィードバックのサイクルを週次で回してくれたおかげです。イニシャルコストが小さく、コール数の急増にも柔軟に対応できるため、別のイベントや販促キャンペーン時の短期コールセンターの立ち上げにも適用できそうです」と語る。
森永乳業のCCoEでは今後、JMASのサポートを得ながら社内に散在する構造化データ、および非構造化データをAWSのデータレイクに投入し、高度な分析基盤として機能させたいと考えている。社内に埋もれている膨大なデータをかけ合わせて新たな知見や洞察を引き出し、経営やマーケティングの意思決定に役立てることが狙いだ。このほか、同社の商品やサービス、トピックなどに対するソーシャルメディア上の反応を可視化した上で精緻なマーケティング施策につなげることも検討している。こうした計画を実現するため、AWS活用においてJMASと共通言語でコミュニケーションできる人材を育てることが当面の目標だ。
北條氏は、「JMASは、現業部門とわれわれが互いの専門性を尊重し、相互信頼にもとづく協業関係の中で技術分野におけるサポートをしてくれています。今後もJMASとさまざまなPoCプロジェクトを遂行する中で技術とノウハウを獲得し、将来的にはスピーディに内製できる体制にもっていきたいと考えています」と話している。
※「森永 トリプルヨーグルト」の詳細は、https://triple-yogurt.jp/index.htmlを参照ください。
※「生活習慣サポート110番」の詳細は、https://triple-yogurt.jp/support.htmlを参照ください。
会社プロフィール
- 社名
- 森永乳業株式会社
- 本社
- 東京都港区芝五丁目33番1号
- URL
- https://www.morinagamilk.co.jp/
森永乳業は、牛乳、飲料、ヨーグルト、アイスクリーム、チーズ、流動食、育児用食品などの研究開発、製造、販売を中核事業とする総合乳業メーカーだ。牛乳本来のコク、キレのあるのどごしの「森永のおいしい牛乳」、チルドカップコーヒー「マウントレーニア」、ひとくちサイズのアイスクリーム「ピノ」、ビフィズス菌BB536を配合した「ビヒダス ヨーグルト」などのブランドは多くのファンに親しまれている。2017年9月に創業100周年を迎えるにあたっては、コーポレートスローガンを「かがやく“笑顔”のために」に一新。乳で培った技術を活かし、心とからだの両面からお客さまの健康を支え、幸せな生活に貢献することで笑顔あふれる豊かな社会をつくることを目指している。