株式会社ウェブクルー

データセンターで運用してきた
約340のサーバと
Oracle DatabaseをAWSへ移行
JMASとの緊密な連携により
AWS本番切り替え当日の大規模移行も実現

目的

データセンターで運用してきた約340のサーバとOracle Databaseをクラウドへ移行し、システムの運用、保守にかかる工数とコストを削減したい

概要
  • 株式会社ウェブクルー(以下、ウェブクルー)は、データセンターで運用してきた20の比較サイト基盤を含むほとんどのシステムをAmazon Web Services(以下、AWS)へ移行するプロジェクトを実施
  • オンプレミス環境からクラウドへのシステム移行実績、関連技術の知見、サポート体制などを評価し、JMASをパートナーに指名
  • システムの基本的な構成をほとんど変えることなくAWSへ移行するプロジェクトを成功させ、システム運用、保守にかかる工数とコストを大幅に削減
課題
  • システムの運用、保守にかかる工数とコストが増加の一途をたどっていた
選定理由
  • オンプレミス環境からクラウドへのシステム移行実績が豊富
  • 互いの作業範囲を柔軟に調整することでコスト圧縮が可能
  • CloudEndure Migrationでの移行実績、AWS上でのOracle Database構築実績、VMwareの知見
導入効果
  • システムの基本的な構成をほとんど変えることなくAWSに移行できた
  • システム運用、保守にかかるコストを約1,000万円削減することを見込んでいる
  • 人的リソースや資金をより本質的なIT業務にあてられるようになった

システム運用の工数とコストを削減したい

ウェブクルーは、保険、生活、自動車、教育、シニア、法人の6つの分野にまたがるEマーケットプレイス事業者だ。同社は比較ポータルサイト「ズバット」や、生命保険の比較見積もりサイト「保険スクエアbang!」など、25の比較サイトを運営し、消費者がさまざまなライフイベントに際して最適な商品・サービスを選択するために必要な情報を提供している。各種比較サイトは幅広い層の支持を得ており、累計利用者数は1,700万人を突破している。

ウェブクルーではこれまで20の比較サイト基盤をはじめとするほとんどのシステムをデータセンターで運用してきた。ただ、システムを自前で管理することを前提とする従来のIT環境は、サーバの運用・保守や、5年ごとのハードウェアリプレースにかかる工数とコストが増加の一途をたどっていたという。そこで同社は約1年後に迫ったデータセンターの契約期限までにシステムをクラウドへ移行する方針を固めた。同社がプラットフォームとして選んだのはAmazon Web Services(以下、AWS)だ。

システムディビジョン統括 徳永 恵祐氏は、「コスト的には、すでにいくつかの比較サイト基盤を置いていたGoogle Cloud Platform(以下、GCP)にシステムを集約することが理想でした。ただ、今回の移行対象はVMware上で稼働する約340のサーバと、複数台の物理サーバで構成されているOracle環境です。GCP上でOracle Databaseを稼働させることは難しいため、現実的な移行先としてAWSを選択しました」と語る。


300台以上のサーバをAWSに移行し、
24時間以内で環境切替を実施

ウェブクルーは、データセンターで運用してきたシステムをAWSへ移行するプロジェクトを発足。その遂行にあたってはOracle Database環境をAWSへ確実に移行する知見が必要だったため、システムベンダーに助力を仰ぐことにした。

システムベンダーの選定においてはAWSのパートナープログラムを通じて知った2社によるコンペを実施。オンプレミス環境からAWSへのシステム移行実績、コスト、技術力、サポート体制などを比較・検討した結果、JMASをパートナーとして指名した。

徳永氏は、「提案内容や対外的な技術ブログを拝見したところ、JMASがAWSの豊富な知見を有するベンダーであることがわかりました。もちろん、CloudEndure Migrationでの移行実績や、AWS上でのOracle Databaseの構築実績、VMwareの知見なども選定理由です。プロジェクトの計画段階から参画できること、コスト圧縮の観点で互いの作業範囲を柔軟に調整できることも重要なポイントでした」と話す。

同社はJMASとの共同プロジェクトを2020年5月中旬にスタートし、2つのフェーズで実施した。第1フェーズは、移行対象サーバの洗い出しと移行順序の検討、CloudEndure Migrationによる移行検証、AWS環境の設計などを中心とするAWS切り替え計画の策定だ。

徳永氏は、「弊社ではビジネス部門によって立案されたWebコンテンツ改修などの企画についてシステム部門が技術的な支援を行い、具現化していくのが基本スタイルです。そのため、通常は企画の立案元であるビジネス部門がプロジェクトの進行、および管理を行います。ただ今回はシステム移行のため、組織全体の足並みをそろえるためのスケジュール調整やタスク管理をわれわれが主導する必要がありました。そんな中、JMASはプロジェクト遂行に必要な各種ドキュメントをわれわれの要求通りに作成・提供してくれたため、作業負荷を軽減できました」と語る。

約2カ月間にわたる第1フェーズ完了後、計画の実行段階である第2フェーズがスタートした。実作業にあたっては移行対象サーバへのCloudEndureエージェントのインストール、およびアプリ動作確認をウェブクルーが行い、AWS環境の構築、および移行サーバのデプロイをJMASが実行する体制を整備。比較的ビジネスインパクトの小さいシステムから移行リハーサルを行い、その結果を踏まえて段階的な本番切り替えを実施した。

「AWS移行時にIPアドレスを含めてシステムの基本的な構成をできるだけ変更しないことが重要な要件の1つでした。IPアドレスの変更に伴うシステム改修や動作テストを極力避けたかったためです」(徳永氏)

しかし、IPアドレスの一部変更はやむを得なかった。従来の環境において単一の BIG-IP インスタンス上で持っていた多数のグローバルIPアドレスをAWS環境に引き継ぐ場合、高価なインスタンスタイプを用意する必要があり、コスト要件をクリアできなかったためだ。その際にもJMASは自らの知見をもとに対応策を検討し、最適な仕様を固めたという。

徳永氏は、「IPアドレスがらみの要件で、AWSへの移行本番切り替え当日に一発勝負の移行作業にあたらなければならないサーバも約40台ありました。そんな中JMASは各作業状況と進捗を管理し、AWSへの移行作業が円滑に進むよう十分なサポートを提供してくれたことが印象的です。大規模な移行なのである程度の時間的猶予を設けていましたが、大きなトラブルはなく、24時間以内にカットオーバーできました」と話す。


AWS環境の安定稼働を実現し、
データセンターを閉鎖

ウェブクルーは2020年12月、データセンターで運用してきたシステムについて基本的な構成をほとんど変えることなくAWSに移行することに成功した。Oracle DatabaseのAWS移行に伴うサービスのダウンタイムを最小限に抑えられたことは成果の1つだ。もちろん、AWS上でも従来と同様にOracle Database環境を冗長化し、万一の災害・システム障害時においても事業継続を担保できる仕様になっている。AWS環境は実用上の問題がなく安定稼働を続けていたことから、同社は約1カ月間並行稼働させてきた旧システムを撤廃し、2021年2月にデータセンターを閉鎖した。

徳永氏は、「システムの運用・保守にかかる工数は大幅に削減しました。コストも年間で約1,000万円削減できる見込みです。これにより浮いた人的リソースや資金を、より本質的なIT業務にあてられるようになりました」と語る。

ウェブクルーはAWSとGCPの有効な活用法をさらに追求していく。今後はデータ活用のアプローチに機械学習をはじめとするAI技術を取り入れるなど、技術的な領域においても他社との差別化を図っていきたい考えだ。

徳永氏は、「われわれがシステムベンダーに協力を依頼するのはレアケースです。システムディビジョンメンバーの3分の1はエンジニアであり、ITの内製化を基本方針としているためです。しかし、JMASと協働する中で安心感を覚えたのも事実です。この先、何らかの理由でクラウド活用の知見とスキルが必要になった際の有力な要請先としてJMASの動向には今後も注目していきます」と話した。


※車買取比較サイト「ズバット 車買取比較」は、https://www.zba.jp/car-kaitori/を参照ください。
※保険の比較見積もりサイト「保険スクエアbang!」は、https://www.bang.co.jp/を参照ください。

会社プロフィール

社名
株式会社ウェブクルー
本社
東京都世田谷区三軒茶屋二丁目11番22号
URL
https://www.webcrew.co.jp/

ウェブクルーは、保険、生活、自動車、教育、シニア、法人の6つの分野にまたがるEマーケットプレイス事業者だ。同社は比較ポータルサイト「ズバット」や、生命保険の比較見積もりサイト「保険スクエアbang!」など、25の比較サイトを運営し、消費者がさまざまなライフイベントに際して最適な商品・サービスを選択するために必要な情報を提供している。各種比較サイトは幅広い層の支持を得ており、累計利用者数は1,700万人を突破している。