- 株式会社日本能率協会総合研究所
AWSへのIT基盤の全面移行をJMASが支援 BCP強化とITコストの削減が狙い
目的
BCP対応を強化するため、IT基盤をAWSへ全面移行したい
- 課題
- 既存のIT環境ではBCP対応に限界があった
- ハードウェア調達や運用にかかるITコストが増大していた
- 選定理由
- AWS Partner NetworkアドバンスドコンサルティングパートナーであるJMASへの信頼
- 厳格なセキュリティ基準を設け、機密情報を扱う企業の実績も豊富
- ITコストを全体で20%削減できると試算
- 導入の効果
- サーバ環境やネットワーク環境を柔軟に変更可能
- 多大な時間を要してきたバックアップ処理を迅速化
- 新規サーバの展開が容易なため、スピード感をもって事業戦略を展開
- DRサイトを最小コストで構築し、BCPを強化
AWSの採用で20%のITコスト削減を見込む
株式会社日本能率協会総合研究所(以下、JMAR)は、一般社団法人日本能率協会を母体とするシンクタンクだ。1984年の設立以来、官公庁や地方自治体の政策立案・計画立案を支援する調査研究事業、民間企業のマーケティング課題を解決する調査研究事業、会員制のビジネス情報提供サービス事業(マーケティングデータバンク)の3つを軸にビジネスを展開。近年は、アジアを中心とした海外展開にも本腰を入れており、さまざまな調査ニーズに柔軟にこたえられる体制を整備している。
大量のデータを扱うリサーチ・データ解析を生業とする同社にとってITは生命線だ。このため、業務停止や社会的信用の失墜を招くリスクを最小化するBCP(事業継続計画)を重要なIT戦略の1つに位置づけてきた。BCPの気運が一気に高まったのは、2011年3月の東日本大震災以降だ。同年11月には自社で運用してきたIT基盤をハウジング方式の商用データセンターに移行。各システムのバックアップデータを別拠点に転送するBCP対策を行ってきた。
しかし、この体制では、万一の障害から復旧するまでにかなりの時間を要してしまう。バックアップデータを対象ディスクに書き戻すリストアが必要になるためだ。代表取締役社長 加藤 文昭氏は、「システムを二重化し、不測の災害時に本番機が停止しても業務を継続できるようDRサイトを構築する構想はありました。ただ、システムの管理・運用コストが重すぎることなどを理由に議論は停滞してしまっていたのです」と語る。
AWSの認定パートナーであるJMASを選定
大きな転機になったのは、JMASの訪問だった。同社は、AWSの活用を軸としたJMASからの提案に惚れ込み、すぐに評価してみることにした。結果、BCP対応を強化できること、あらゆるセキュリティ要件を満たすこと、豊富な実績などを評価し、新たなインフラ基盤にAWSの採用を決定。システムインテグレータにJMASを選定した。
管理本部 本部長 進士 宜裕氏は、「これまでのIT環境では、高額なハードウェア調達費用に加え、5年ごとにリプレース費用も発生します。システム構成が複雑になるにつれ、運用コストも増大していたのです。サービスを利用した分だけ料金を支払うAWSを利用すれば、20%のITコスト削減を見込めたのもポイントでした」と話す。
JMARは2014年8月より、基幹システム、ファイルサーバ、グループウェア、検索サーバなどをはじめとする全システムを3年計画でAWSへ移行するプロジェクトを開始した。業務停止リスクを最小化するようJMASと共同で策定した移行プランに沿ってプロジェクトを進め、2016年3月時点で全体の約6割を移行済みだ。保守期限切れに伴うリプレース対象のシステムも順次、AWSへ移行している。いまのところ、ハードウェア障害によるシステムダウンはほとんど発生していないという。
管理本部 総務・人事グループ 君島 敬史氏は、「JMASはサポートも手厚く、さまざまな要望にいつも親身にこたえてくれています。AWS Partner NetworkアドバンスドコンサルティングパートナーのJMASは心強い味方
AWSが新規事業立ち上げのハードルを下げる
すでに成果も見え始めている。たとえば、AWSは業務要件に合わせてサーバ環境やネットワーク環境を柔軟に変更することが可能だ。これまで無駄な設備投資コストや運用コストの発生を恐れて踏み出せなかったサーバ増強を行い、慢性的なディスクの容量不足を解消した。また、AWSのスナップショットを用いることで、これまで始業時間までに終わらなかった夜間バックアップ処理を数分で完了できるようになった。
進士氏は、「AWSではディスク容量を気にすることなく必要なときに必要なだけバックアップを作成できます。調査サービスでは数百ページにおよぶ報告書をお客様の要望に合わせて頻繁に更新しますが、必要に応じて数日前や数時間前の過去のバージョンも簡単に復元できるようになりました」と話す。
新規事業の立ち上げに伴い、高額なハードウェアを購入してしまうと、コスト回収の観点から目論みが外れたときの撤退の判断が難しい。AWSはITリソースを使いたいときに使える上に、やめるのも簡単だ。
リスクを極小化しながらスピード感をもって事業戦略を展開できるようになったメリットも大きい。君島氏は、「AWS上ではさまざまなIT施策を適正なコストで迅速に展開できます。社内では、AWSがIT周りの不安要素を取り除いてくれるという共通認識が形成されています。新事業立ち上げのハードルは大きく下がり、事業戦略会議での議論も活性化しました」と語る。
JMARは、JMASのサポートを得ながらAWSへのシステム移行を継続して行っていく。今後は、AWS上のサービスの活用を深め、さらなるコスト削減・業務効率化・セキュリティの強化を達成したい考えだ。BCPへの取り組みでは、これまでコスト面で難しかったDRサイトの構築も視野に入っている。
加藤氏は、「パフォーマンスやディスク容量を簡単に増強できるAWSをうまく使い、ビッグデータを扱う案件への入札やサービス提案を積極化していきます。また、VPNや仮想デスクトップの仕組みをAWS上で稼働させ、在宅勤務を実現するのも大きなテーマです。JMASの強力なサポートを後ろ盾に、AWSを中核に据えたIT戦略を推進していきます」と話している。
会社プロフィール
- 社名
- 株式会社日本能率協会総合研究所
- 本社
- 東京都港区芝公園3-1-22 日本能率協会ビル7階
- 創設
- 昭和59年
- URL
- http://jmar-im.com/
JMARは、一般社団法人日本能率協会を母体とするシンクタンクとして1984年設立。官公庁や地方自治体の政策立案・計画立案を支援する調査研究事業、民間企業のマーケティング課題を解決する調査研究事業、会員制のビジネス情報提供サービス事業(マーケティングデータバンク)の3つを軸にビジネスを展開しております。