コクヨ株式会社

ユーザ部門が探索的データ解析を行える
データレイク環境をスモールスタート
データ活用の第一歩を踏み出し、
企業価値の向上を目指す

目的

構造化データ、および非構造化データを一元的に保管できるデータレイクを構築し、探索的アプローチによるデータ解析を行うことでビジネスに役立つ知見や洞察を得たい

概要
  • コクヨ株式会社(以下、コクヨ)の情報システム部は、Amazon Web Services(AWS)上にスモールスタートでのデータレイク構築プロジェクトを開始した
  • AWS Partner Network(APN)コンサルティングパートナーとして実績を重ね、データの収集、蓄積、分析活用に強みを持つJMASを開発パートナーとして選定した
  • データレイクとしてあるべきアーキテクチャを実装するとともに、AWSを扱う上での基礎的なスキルとノウハウを自社内に蓄積できた
課題
  • センサーで取得される従業員の位置データをはじめ、働き方にかかわるさまざまな生データを蓄積できるリポジトリを保有しておらず、それをクラウド上に構築するためのスキルとノウハウが必要だった
選定理由
  • AWS Partner Network(APN)コンサルティングパートナーとして活躍
  • センシングデータの収集・蓄積・分析における知見を有し、実績も豊富
効果
  • 約2カ月という短期間でAWS上にデータレイクを構築した
  • データ活用を武器とする企業になるための第一歩を踏み出すことができた
  • AWSの豊富な知見と技術力を有するJMASとの協創をスタートさせ、中長期的な支援を得られるようになった

働き方にかかわる
さまざまな生データを蓄積したい

コクヨは、文具や事務用品を製造・販売する「ステーショナリー事業」、オフィス用品の通販サイト「カウネット」の運営とインテリア・生活雑貨の販売を行う「通販・小売事業」、オフィス家具などの提供からオフィス空間の設計・構築、働き方改革コンサルティングまでを手掛ける「ファニチャー事業」を軸にビジネスを展開している。
2021年11月に、第3次中期経営計画「Field Expansion 2024」を発表。「長期ビジョンCCC2030」の達成に向け、「働く」「学ぶ・暮らす」の領域で、文具や家具だけにとらわれない、豊かな生き方を創造する企業「WORK & LIFE STYLE Company」になることを目指している。

同社では2020年よりITインフラを順次、オンプレミスからAWSを中心としたクラウドへ移行している。新型コロナウイルスをきっかけとする働き方の急激な変化に対応するとともに、日々の業務から生み出される大量のデータを活用することで中長期的な企業価値の向上を図ることなどが狙いだ。

社内ではデータ活用のあり方について1つの構想が持ち上がっていた。働き方にかかわるさまざまな生データを探索的アプローチによって解析し、商品・サービスの企画立案やオフィス空間の提案に役立つ洞察を得たいというものだ。そこでまず取り組んだのが、オフィスフロア内の人流データの蓄積と分析環境の構築である。その目的は、オフィス内の従業員の勤務状況や位置情報をつかみ、生産性の向上に資する示唆を得ることだ。その後コロナ禍の影響も加わり、事業継続性の確保という観点でも有効な施策を打つことが求められた。

具体的には、同社が働き方の実験場と位置づける品川の新オフィスビル「THE CAMPUS」※のフロア内にBeacon端末を設置。それらから発せられる信号を従業員のスマートフォンで検知し、計測されたデータをAWSに蓄積・BIツールで分析できる仕組みを構築した。結果、オフィスのサイネージに従業員の所在をヒートマップで表示したり、回遊ルート・滞留時間などの分析結果をもとにレイアウトを改善したりするなどの施策につなげている。従業員の位置データだけでなく、Web会議ツールやチャットの利用実績、スマートフォンの通話履歴、会議室の予約状況などの生データを収集・蓄積するようになったのもそのタイミングだ。

情報システム部 グローバルシステムユニット 河村 康雄 氏は、「もともとの構想を実現するためには複数ソースからの大量のデータをネイティブ形式で格納できるリポジトリが必要です。先々の広範なデータ活用を見据え、組織横断的なプロジェクトとしてクラウド上にデータレイクを構築する方針を固めたのです」と語る。


AWSの豊富な知見と技術力が決め手

コクヨは、ITインフラのクラウドシフトを推進する中でメインの移行先としているAWS上にデータレイクを構築することを決定し、開発パートナーの選定に着手。AWSのパートナープログラムを通じて知ったJMASを評価した。

情報システム部 インフラプランニングユニット 永尾 嘉教 氏は、「われわれにとっては極めてチャレンジングな取り組みでした。手探りの中で仕様や要件を固めていく必要があったため、通常の開発案件のようにRFP(提案依頼書)に基づいて複数のベンダーをコンペにかけ、比較・評価するというプロセスを経ていません。しかし、そこはAPNコンサルティングパートナーとして実績を重ねているJMASです。ご提案内容はもちろん、ちょっとした会話からもJMASがAWSの豊富な知見と技術力を有するベンダーであることがわかりました」と話す。

加えて、今回のプロジェクトはセンサーで取得される従業員の位置データとの連携が肝である。この点でも、IoTデータ連携、AWSへの蓄積、分析、レポート作成、コンサルティングまでの一連の支援に定評のあるJMASが適任だった。そこで同社は2020年12月よりJMASとの協業での開発に着手した。

永尾 氏は、「われわれがJMASに求めたのはスピードと品質の両立です。開発着手時には、THE CAMPUSにて未来のオフィスの姿をお客様に披露するイベントの開催が2カ月後に迫っており、それまでにリリースする必要があったためです。JMASにはまず、スモールスタートのためのデータレイクを短期間に作っていただきました。ざっくりとした依頼についても意図をくみとった上ですばやく技術的支援を行ってくれたこと、常にわれわれの期待を超えるサポートをご提供いただけたことに感謝しています」と語る。


データレイクとして
あるべきアーキテクチャを実装

コクヨは2021年2月、AWS上でデータレイクを稼働させた。データ収集、データガバナンス、メタデータ管理、セキュリティ、アクセス制御などの各構成要素においてあるべきアーキテクチャを実装するとともに、AWSを扱う上での基礎的なスキルとノウハウを自社内に蓄積できたことは成果だ。これにより、社内ユーザが、データをビジュアルに可視化できるBIツールで働き方にかかわる各種データを探索する基盤を準備できた。

河村 氏は、「探索的アプローチによるデータ解析では、ユーザの思考を途切れさせることなく処理できるパフォーマンスが重要です。ゆえに、われわれとしてはデータレイクの品質を維持し、データ探索を快適に行える環境を提供し続けなければなりません。そのためのノウハウと実践的なスキルの習得は急務であり今後もJMASのサポートが不可欠です。今後、さまざまなシステムが蓄積する生データをBIツールで見られるようにしてほしいという依頼がきたときにも今回のデータレイクを有力な選択肢として示せるように備えていきます」と話した。

※「THE CAMPUS」:コクヨ株式会社が運営する「働く・暮らす」の実験場。
詳細は、https://the-campus.net/を参照ください。


会社プロフィール

社名
コクヨ株式会社
本社
大阪市東成区大今里南6丁目1番1号
URL
https://www.kokuyo.co.jp/

コクヨは、文具や事務用品を製造・販売する「ステーショナリー事業」、オフィス用品の通販サイト「カウネット」の運営とインテリア・生活雑貨の販売を行う「通販・小売事業」、オフィス家具などの提供からオフィス空間の設計・構築、働き方改革コンサルティングまでを手掛ける「ファニチャー事業」を軸にビジネスを展開している。
2021年11月に、第3次中期経営計画「Field Expansion 2024」を発表。「長期ビジョンCCC2030」の達成に向け、「働く」「学ぶ・暮らす」の領域で、文具や家具だけにとらわれない、豊かな生き方を創造する企業「WORK & LIFE STYLE Company」になることを目指している。