tenso株式会社

転送コムのサービス基盤をAWSへ移行するプロジェクトをJMASと展開

目的

転送コムのサービスを安定運用するため、 スケーラブルな基盤へ移行したい

課題
  • サービスを利用する会員数の増加に伴い、サーバの処理速度の低下が顕著になってきた
  • 機能拡張やメンテナンスが繰り返されてきた結果、IT環境のブラックボックス化が進んでいた
  • システムの拡張性が乏しく、必要なIT施策を迅速に展開することが困難だった
選定理由
  • サービスを止めないAWSのスケーラビリティ
  • AWSを含むクラウド導入に定評のあるJMASへの信頼
  • AWSの各種サービスを利用するメリットと移行後のビジョンを具体的にイメージさせてくれるJMASの提案力
導入の効果
  • アクセスがピークに達する時期・時間帯でもサービスを安定運用できる
  • サーバの冗長構成を実現し、業務停止やビジネス機会の損失リスクを軽減
  • サーバの立ち上げが容易なため、新しいアイデアをすぐにサービスに反映できる
  • インフラ構築やアプリケーションのデプロイを自動化し、エンジニアの負荷を軽減。より本質的なアプリケーション開発に注力できる

急成長するサービスを安定運用することが狙い

tenso株式会社 執行役員 浜田 祐介氏

tenso株式会社(以下、tenso)は、「転送コム」と「Buyee(バイイー)」の2つのサービスを軸にビジネスを展開する。転送コムは、国際発送に未対応の国内通販サイトにおいて海外在住の顧客が購入した商品を代理で受け取り、指定された届け先に発送するサービス。一方、Buyeeは、転送コムの進化版に位置づけられる。ヤフオクやYahoo!ショッピング、楽天など、国内のオークションサイトや通販サイトをBuyeeに集約した上で英語や中国語などの多言語、海外発行のクレジットカード決済に対応させ、そこで購入された商品を国際配送するサービスだ。

執行役員 浜田 祐介氏は、「転送コムやBuyeeのサービスを利用する会員数は順調に伸びており、提携企業もいまや1,100社を数えます。ここ数年、年間流通量は倍々成長を続けており、これに伴って表面化したのがサービスを支えるIT基盤のパフォーマンスの問題でした」と語る。

これまでは事業規模や売上の成長とともにサーバを増設し、一定のパフォーマンスを維持してきたものの、会員数の増加に伴って処理速度の低下が顕著になってきた。各提携社が独自に期間限定のイベントやキャンペーン施策を展開し、サービスへのアクセスが急増すると、ページ要求命令に対して迅速な処理を行うことが難しかった。これがサービス品質の低下を招き、ビジネス機会をみすみす逃してしまうリスクになっていたという。

システム開発部 マネージャー 河治 寿都氏は、「私が入社した当時、急速に拡大する事業を支えるため、矢継ぎ早のIT投資の中で機能拡張やメンテナンスが繰り返されてきた結果、IT環境のブラックボックス化が進行していました。システム構成の複雑化によるITコストの増大も問題でしたが、拡張性の乏しさも必要なIT施策の展開を阻害していたのです」と話す。

また、万一のシステム障害に備え、手動でフェールオーバーする冗長化構成を組んでいたものの、そもそもスタンバイ機も実用に耐えうる十分な性能を確保できていなかった。可用性の高いシステムを再構築する必要にも迫られていたのだ。


AWS導入プロジェクトをJMASと推進

tenso株式会社 ソリューション部
シニアマネジメント 河治 寿都氏

これらのIT課題を解決するにあたり、グループ会社の紹介で出会ったのがJMASだ。tensoは、システムインテグレータにJMASを選定し、転送コムのサービス基盤をAWSに移行することを決めた。

河治氏は、「JMASには弊社の抱えるIT課題やニーズを丁寧にヒアリングしていただきました。当初想定していなかったAWSのAuto scalingやOpsWorksの導入を勧めてくれたのもJMASです。クラウド導入に実績のあるJMASには、AWSの各種サービスを利用するメリットと移行後のビジョンを具体的にイメージさせてくれる確かな説得力がありました」と語る。

プロジェクトは滞りなく進行。あらゆる要件を満たしながら予定どおりの工期で開発を終えることができた。河治氏は、「JMASはわれわれの問い合わせに対し、迅速かつ丁寧に対応してくれました。有益な情報提供を含め、弊社エンジニアのITスキルの向上やノウハウの獲得に寄与していただけたことも印象に残っています」と話す。


DevOpsを加速し、 アプリケーション開発に注力できる体制に

tensoは、2015年7月より、転送コムのサービス基盤をAWS上で運用している。新環境では、サーバの冗長化を実現しており、万一、障害が発生しても自動的にデータや処理を引き継げることを検証済みだ。最大の成果は、サービスの安定運用を実現できたことだ。アクセス数が急増する年末年始もトラブルなく乗り切ることができた。

浜田氏は、「日本の通販サイトで購入した商品を台湾のファミリーマート全店で受け取れるサービスの提供開始時には、会員登録に伴うアクセス数が通常時の30倍に達しました。AWSでは突発的なアクセス増にもパフォーマンスを落とすことなくサービスを運用できます。システムダウンによるビジネス機会の損失を免れたのはAWSのおかげです」と語る。

副次的な成果もある。以前のようにシステムダウンに伴う手続きや対応に追われることがなくなり、さまざまなマーケティング施策を立案・実行するためのリソースを十分に確保できるようになった。AWSでは新規サーバの立ち上げも容易なため、新しいアイデアをすぐにサービスへ反映・展開できるのもメリットだ。

また、同社はDevOps(開発と運用の緊密な連携)を実現すべく、OpsWorksの活用も深めている。これは、アプリケーションサーバ、データベースサーバ、ロードバランサなどの各レイヤの構成情報をレシピに定義することで、インフラ構築やアプリケーションのデプロイを自動化できるAWSのサービスの1つだ。これにより、デプロイや更新などの作業をエンジニアのスキルに依存することなく、容易に行うことが可能に。エンジニアは、インフラ作業に手を煩わせることなく、より本質的なアプリケーション開発に多くのリソースを投入できるようになった。

河治氏は、「円安を背景とする“爆買い”は、免税品目の拡大と免税手続きの簡素化により本格軌道に乗っています。そんな中、ディスク容量を気にせず、お客様の購買行動データを蓄積できるようになりました。今後は、AWS上に分析基盤を構築し、購買行動をベースに分類した顧客セグメントごとに最適なマーケティング施策を展開できる体制を目指します。JMASには、お客様にとって価値の高いサービスを提供し続けるためのITパートナーの役割を期待しています」と話している。


会社プロフィール

社名
tenso株式会社
本社
東京都品川区北品川4-7-35 御殿山トラストタワー6F
URL
http://corp.tenso.com/

tensoは、「転送コム」と「Buyee(バイイー)」の2つのサービスを軸にビジネスを展開する。転送コムは、国際発送に未対応の国内通販サイトにおいて海外在住の顧客が購入した商品を代理で受け取り、指定された届け先に発送するサービス。Buyeeは、国内のオークションサイトや通販サイトをBuyeeに集約した上で英語や中国語などの多言語、海外発行のクレジットカード決済に対応させ、国際配送するサービス。