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2020年04月22日

BtoB EC担当者が活用方法をご紹介

【BtoB EC 基礎】ECサイトにおけるtoBとtoCの違い

EC
皆さん、こんにちは。
JMASの加納です。

卸業務をされているお客様から、現在ご利用されているECサイトの改修についてご相談を受けました。業務改善の為に他社に相談して構築中だが、作業がうまく進んでいないという内容でした。

しかし、何が問題で作業が進まないのか、分からない様子でした。

お客様内でベンダー選定をしていた際、別の社内システムでお付き合いがあり、ECサイトの構築実績があったSI’erに相談されたそうです。このSI’erは、開発費用を抑え短期間の開発が可能になるメリットをあげて、実績のある低価格のパッケージをカスタマイズする事を提案しました。お客様は、予算的なこと、以前から付き合いのあるSI’erなのでスムーズに作業できることを期待して、このSI’erに開発の発注を決めたと仰っていました。

しかし、なぜ作業が難航していると我々に相談したのでしょうか?
それは、このSI’erはBtoBとBtoCの違いやノウハウが十分で無かったためです。

企業間取引で利用されるECサイトをBtoB EC、一般消費者に利用されるECサイトをBtoC ECと言います。もちろん違いはこれだけはありません。もっとも重要な違いをご存じでしょうか?習慣と機能という2つの視点で比較してみましょう。

卸業特有の商習慣に合わせた機能

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1.見積書
BtoBでは、取引契約に見積書が必要です。どの商品を、どれくらいの数量で、幾らの価格で取引できるか、複数の取引先と比較し選定するために利用されます。時には、選定を優位にするために作り直したり、取引条件の変更が発生してやり直したり、何度も作成する場合もあります。一般的に、BtoCで見られませんが、限られた業種で利用される場合もあります。そして、BtoBでは必須の書類の1つと言えます。

2.会員プロセス
BtoCでは、全ての消費者が平等に購入できる機会が与えられます。しかし、BtoBでは信頼できる企業でなければ、取引をすることはありません。BtoB EC利用のためには、会員登録の前に安全に取引ができる企業であるか審査が必要になります。この審査では、企業のビジネス規模や世間的な評価などを含め様々なことがチェックされます。
BtoB ECサイトでは、自由に会員登録できるのではなく、承認制の機能などが必要になってきます。

3.個別の販売条件
BtoCでは、購入履歴等による割引やキャンペーンを除き、全ての消費者に対して一律の価格設定がされています。一方BtoBでは、審査結果に応じて個別の取引条件が設定されます。それぞれの企業毎に販売個数や価格等、長期的な取引を続けるための、安全かつ双方に不利の無い条件が設定されます。

「掛値」「卸値」「下代」など呼び方は様々ですが、顧客別に価格を調整する機能は必須機能の1つです。

4.掛け決済
BtoCでは、購入と同時に支払いが発生します。しかし、BtoBでは1ヶ月などの一定期間の購入分をまとめて支払う掛け決済が一般的です。会員企業の審査結果に基づき、信頼できる取引先であることが確認できた場合に利用される決済方法です。
企業間では毎月多くの取引が行われ、その都度、支払手続きをするのは双方にとって負担も大きいため、負担軽減のために行われている日本独自の商習慣です。BtoB ECでも、この決済を実現する要望は多くあります。

卸業特有の必須機能

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1.明確な納期
取引先が飲食店の場合は注文翌日だったり、小売の場合は特定の曜日だったり、納期が明確に設定されています。理由は、商品の消費するスピードや倉庫の状況等、取引先の様々な事情や、出荷業務・配送ルートの検討等、販売する側の事情といった双方の要因よるものです。また、納期が設定されていることで、販売する側も製造計画が立てやすくなります。BtoBでは、互いに不利益にならないよう、細かな取り決めがなされているのです。販売者にとっては納期が商品別に設定できる、購入者にとっては納期が把握しやすくなるECサイトが求められます。

2.特定の取引先のためのクローズドサイト
前項の「3.個別の販売条件」にも記載した通り、BtoBでは取引先毎に個別の条件が設定されています。商品価格だけでなく、販売出来る商品/販売出来ない商品や、販売単位が異なる場合等、さまざまなパターンがあります。その違いは未公開情報として契約されており、他社の取引条件を開示してはいけません。つまり、特定の取引先のみ利用でき、他の取引先にとっては存在しない用に見えるサイト構成が必要ということ。そのためには、安全で利用制限の設定ができるクローズドサイトが要求されます。

3.1つの注文に対する多拠店配送
BtoBには、複数の拠店を持っている取引先も存在します。注文、請求、支払は本部のある特定1カ所であるにも関わらず、配送先は各拠店毎に、異なる商品・異なる数量を別々に配送することも一般的です。BtoCでは、一般的に1回の注文に対して配送先は1か所です。しかしBtoBでは、1回の注文に対して複数の拠店に、それぞれ異なる注文内容で配送する機能が必要になります。

4.BtoCにはない注文方法
BtoCとの大きな違いは、1回に注文する数かもしれません。数十個、数百個の注文も一般的です。また、BtoCのように商品を選びながら購入するケースは少ないですが、BtoB ECでは、毎回同じ商品を購入することが多いため「前回と同じ商品を同じ数で!」という注文方法を可能にする機能のニーズは非常に高いです。

最後に

これらは、BtoBとBtoCの違いの一例です。他にも、業種業界毎に特有のルールが存在し、ECサイトを開発するSI’erは、これらの違いを知っている必要があります。

以上のことから、ECサイト導入の際、実績数やサイト規模だけでSI’erを選定するとトラブルの原因になる場合があります。SI’erの見極めには、BtoCとBtoBのどちら実績が多いか、どんな業種のECサイトが得意なのか、しっかり見極めることをお勧めします。

弊社は、国内、海外対応型のBtoB ECクラウドサービス「セカイカート」を提供しており、企業間取引における受注業務の電子化をご支援しています。

ECサイトを導入の際には、お気軽にお問い合わせください。