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2020年06月08日

テレワーク利用率が低いシステムはなに?
~原因と対策をご紹介~

リモートワーク テレワーク

みなさん、こんにちは。ジェーエムエーシステムズの千田 美紀です。

新型コロナの影響と共にテレワークを始めた企業は非常に多かったと思います。しかしながら、当初テレワークに向いていると言われていた事務職の方達も、実際にはテレワークをすることができず、出社して業務をしていたということも多いようです。このような実態となったのは、なぜなのでしょうか?

今回のコラムでは、この点について触れていきたいと思います。

テレワークでの業務システムの利用実態
~基幹業務システムはテレワークでは活用されていない~

ウイングアーク1st株式会社が2020年5月7日~5月15日に実施した、新型コロナウイルス感染症対策の一環として検討・導入が進むテレワークの実態を把握するために行ったアンケート調査によると、7割以上の人がオンライン会議ツール、電子メール、ビジネスチャットツールなどのコミュニケーションツールを利用していると回答しています。

一方で、従来から企業内ITの中心であった基幹業務システムについては、営業・販売管理システムこそ4割を上回る利用率ですが、会計システムや、生産・在庫管理システムなどの利用率は3割を下回っており、全体的にテレワークでの利用が少ないということが、図1のグラフから分かります。

テレワークで利用しているソフトウェア、サービス、システム図1:テレワークで利用しているソフトウェア、サービス、システム
(ウイングアーク1st株式会社実施の調査結果より引用)

テレワークに向いていると言われていた事務職の方達が、実際にはテレワークをすることができず、出社して業務をしていた一因には、基幹業務システムをテレワークで利用出来ない点があると考えます。

なぜ、基幹業務システムのテレワーク利用率が低いのでしょうか。

基幹業務システムは、オンプレミス環境(自社内に構築・運用)で利用されているケースが多く、従来、社外からの利用を前提としてなかったため、必要なリモートアクセス環境等のシステム環境の整備がなされていない点が考えられます。また、社外からの利用を考慮した運用規定やセキュリティポリシーが策定されていないことも、原因として挙げられるでしょう。

基幹業務システムのシステム環境と、社外からの接続手段

基幹業務システムをテレワークで利用するためには、どのようなシステム環境が必要なのでしょうか。

ここで、システム環境と、想定される社外からの接続手段の組み合わせを整理してみたいと思います。(図2参照)

①VPN+リモートデスクトップ
基幹業務システムが、オンプレミス環境上に構築されている実態を踏まえると、まず検討される手段の1つです。この場合、システム環境がいずれの場合でも、社外からの接続が可能です。
しかし、導入には非常に高いコストがかかりますし、通信環境によっては利便性が落ちるといったネガティブな側面もあるので、検討が必要です。
また、全てのアプリケーションが利用できるため、厳密なセキュリティポリシーの策定・運用も併せて必要となるでしょう。

②VPN+ブラウザ
この手段は、基幹業務システムがWebシステムであることが前提となります。基幹業務システムは、未だクライアントサーバタイプ(C/Sシステム)で利用されているケースも多く、この場合は利用できません。

③インターネット+ブラウザ
この手段は、基幹業務システムがWebシステムであり、かつ社内ネットワークを経由することなく、直接インターネット経由でシステムに接続する環境が整備されている必要があります。また、クラウドサービスなどを利用している場合であれば、何らかのアクセス制限を行っていない限り、この方法で接続が可能です。

既存システム環境への接続手段図2:既存システム環境への接続手段

基幹業務システムのテレワーク利用も実現するには?

既存のシステム環境を変えていくことで、基幹業務システムをテレワークで利用する事は可能です。具体的には、以下のような方法が考えられます。

■方法1:C/SシステムをWebシステム化する
個別開発でWebシステム化することで、社外からの接続・利用が可能です。全てWebシステム化するのではなく、必要な機能に限定して開発を行う事により、リーズナブルに対応する事も可能でしょう。また、単純にWebシステム化するのではなく、スマートフォンやタブレットでの利用を前提としたUI/UXを意識することにより、利便性を向上させることもできると考えられます。

■方法2:クラウドサービスに全面移行する
オンプレミスシステムをクラウドサービスに全面移行してしまう方法もあります。
従来のERPパッケージは1年もしくはそれ以上の期間及び、多くの費用がかかっていましたが、最近はSaaS型のクラウドERPの導入が浸透しつつあり、3~4ヶ月という短期間での導入事例も多く見られるようになりました。中には2ヶ月未満で導入といった超段階導入の事例もでてきています。
使い勝手のよい高機能なクラウドERP、クラウドサービスも増えてきていますのでご検討されるには良い時期と考えます。
コロナ禍だけでなく、もともと「2025年の崖」問題等もあり、今こそ段階的にでもクラウドサービスへの移行を進めていくことが、有用な選択肢になると考えます。

テレワークを実現するための方法図3:テレワークを実現するための方法

新型コロナの第2波、第3波の可能性や、BCP対策、東京オリンピックなどを見据え、テレワーク範囲や方式、さらにはモバイルワークを含めたリモートワーク全体として今後どのように捉え、活用していくことが自社にとって最適か、継続して検討していく必要があるでしょう。

テレワーク環境の構築は、ゴールではない!

テレワーク環境の構築は、単に在宅ワークのためのものではなく、働き方改革や業務効率化のために、もっと活用することができます。

次回のコラムでは、「テレワーク」「リモートワーク」「モバイルワーク」の違いについて説明し、「テレワークからモバイルワークへ」をテーマに、テレワークから一歩踏み込んだ、モバイルワークの具体例などを紹介していきたいと思います。ぜひご参考にしてください。

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