マツダ株式会社

デジタルカメラを
KAITOセキュアカメラに置き換え、
撮影業務における機密管理の強化と
効率化を実現
適正なトレーサビリティを確保し、
煩雑な撮影許可申請が不要に

目的

企画、リサーチ、設計、開発、実験の各段階での撮影業務において機密管理の強化と効率化を実現したい

概要
  • R&D技術管理本部は、企画、リサーチ、設計、開発、実験の各段階での撮影業務において機密管理の強化と効率化を実現するための施策を検討していた
  • 従来のデジタルカメラを貸与するスタイルではなにが撮影されたかを追跡できず、撮影許可申請プロセスの煩雑さもユーザの利便性を損ねていたためだ
  • KAITOセキュアカメラを導入した結果、端末にデータを残さない運用を強制し、だれが、いつ、どこで、なにを撮影したかを可視化することに成功
  • ユーザも面倒な申請の手続きを踏むことなく、撮影業務を行えるようになった
課題
  • 撮影業務における従来の運用スタイルではなにが撮影されたかを追跡できなかった
  • 撮影許可申請プロセスが煩雑だった
選定理由
  • 撮影された画像データをサーバへ自動転送し、転送完了後、端末上のファイルを自動的に削除できる
  • Active Directoryと連携し、KAITOセキュアカメラのユーザを識別できる
  • サポートが手厚く、機能追加などの要望にこたえてくれる
導入の効果
  • 撮影業務における適正なトレーサビリティを確保
  • 煩雑な撮影許可申請プロセスを廃止し、ユーザの利便性が向上

撮影許可申請のプロセスが煩雑

マツダ株式会社
R&D 技術管理本部 開発管理部
開発業務管理グループ
青木 茂 氏

マツダ株式会社(以下、マツダ)は、“Zoom-Zoom”のブランドメッセージのもと「走る歓び」と「優れた環境・安全性能」の両立に取り組む日本の自動車メーカーだ。2017年8月には技術開発の長期ビジョン「サステイナブル"Zoom-Zoom"宣言2030」を発表。「地球」、「社会」、「人」とクルマが共存する世界の実現を目指し、「走る歓び」にあふれたカーライフを通じて、お客さまの人生をより豊かにし、お客さまとの間に特別な絆を持ったブランドになることを目指している。

マツダのR&D技術管理本部は、企画、リサーチ、設計、開発、実験などの部門から構成され、技術開発の中核としての役割を担う。同部は業務改善の一環として撮影業務における機密管理の強化と効率化を実現するための施策を検討していた。

撮影業務では、企画、リサーチ、設計、開発、実験の各段階で顕在化した不具合などの現象や伝達事項を画像として記録する。口頭や文字でうまく伝えられない情報を車種ごとに異なる各部門の担当者と共有したり、研究開発報告書を作成したりするのに用いるためだ。また、ベンチマーキングとして競合車種を構成片レベルまで細かく分解する過程でも撮影を行う。構造や部品点数、寸法、材質、加工技術などについて自社製品との比較表を作成したり、技術者と共有したりするためだ。

しかし、撮影業務ではいくつかの問題があった。R&D技術管理本部ではカメラ付きスマートフォンの構内への持ち込みを原則禁止しており、デジタルカメラを貸与するスタイルをとってきた。ただ、撮影許可申請のプロセスは煩雑だ。撮影者は前もって撮影時に必要になる腕章の貸出申請書に必要事項を記入し、上長の承認を得なければならない。そして撮影直前にもデジタルカメラの予約や、撮影者、場所、目的などの帳簿への記入、上長の承認の取得といった手順を踏む必要があった。

R&D技術管理本部 開発管理部 開発業務管理グループ 青木 茂 氏は、「機密管理という観点では、いつ、だれが、どこで、なにを撮影したかを把握できる必要があります。しかし、従来の運用スタイルではなにが撮影されたかを追跡できず、画像データが流出したときに対象者を特定するための体制も不十分だったのです」と語る。

ユーザの利便性も損なわれていた。申請の手続きが面倒なため、画像として記録したい場面でもやむを得ず手書きの図解などで各部門の担当者に情報が共有されるケースもあったという。適正なトレーサビリティを確保しつつ、申請プロセスを簡略化することが求められたのだ。


導入による効果


すべての要件を満たす
KAITOセキュアカメラを選定

R&D技術管理本部は2016年11月、他社の事例からヒントを得て撮影業務における問題を解決するための構想に着手した。機能要件を定義し、いくつかのツールを機能、使い勝手、コスト、サポート、実績などの複数の項目で比較・検討。マツダのシステム関連業務をサポートしているKDDIに紹介されたJMASのKAITOセキュアカメラを正式に評価することになった。

KAITOセキュアカメラは、モバイル端末用のカメラアプリと撮影された画像データのサーバ転送の仕組みをセットにしたパッケージだ。KAITOセキュアカメラで撮影された画像データはサーバへ非同期に自動転送され、転送完了後、端末上のファイルは自動的に削除される。

R&D技術管理本部 開発企画部 大重 忍 氏は、「重要な要件の1つとなったのは、Active Directory連携によりユーザを識別できることです。通信が不安定な場所での利用や、OSバージョンアップへの随時対応といった要件もクリアできたため、KAITOセキュアカメラの導入を決めました」と話す。

2017年6月、各部門の一部ユーザに限定したトライアルを実施し、KAITOセキュアカメラの安全性と実用性を評価。約1カ月の試行運用を経て本格導入に至った。

MDI & IT本部 エンジニアリングシステム部 橋本 憲治 氏は、「JMASの技術者は、仕様変更や機能追加などのマツダの要求にとても親身にこたえてくれました。KDDIのサポートと足並みをそろえた開発体制は際立っており、こんなに早くリリースできるのかと驚いたほどです」と話す。

マツダ株式会社 R&D 技術管理本部 開発企画部 大重 忍 氏(左)
マツダ株式会社 MDI & IT本部 エンジニアリングシステム部 橋本 憲治 氏(右)

撮影者の精神的・工数的な負担が大幅に低減

マツダ株式会社
MDI & IT本部
エンジニアリングシステム部
湧井 克哉 氏

R&D技術管理本部は、各部門に貸与される共用スマートフォンと個人用スマートフォンにKAITOセキュアカメラを導入し、撮影業務に利用できる環境を整えた。本導入から約2年が経ち、今では1カ月あたり約10,000件のデータ転送が行われている状況だ。データ転送後は、撮影者に画像データの格納先へのURLリンクがメールで通知される。そこにアクセスすれば自身で撮影した画像データを複数選択し、一括でダウンロードすることが可能だ。

MDI & IT本部 エンジニアリングシステム部 湧井 克哉 氏は、「KAITOセキュアカメラはユーザから好意的に受け入れられています。いまでは業務パソコンへのデータ移行にUSBケーブルやSDカードリーダーは不要です。USBデバイスとの接続が制限されているCAD端末の利用者も自席で必要なデータを取得できるようになったと喜んでいます」と話す。

管理者や監査者は、トランザクションごとに作成されるKAITOサーバ上のアルバムを確認すれば、撮影者や撮影日時、座標、画像点数などを把握できる。端末にデータを残さない運用を強制し、だれが、いつ、どこで、なにを撮影したかを可視化できるようになったため、事前・直前の申請プロセスを廃止することができた。ユーザはKAITOセキュアカメラが導入されたスマートフォンの空きさえあればストレスなく撮影業務にあたることができる。

大重氏は、「一般にセキュリティを高めれば、ユーザの利便性を損ねてしまうもの。これらはトレードオフにあり、どこかで折り合いをつけなければなりません。ですが、KAITOセキュアカメラは機密管理の強化と利便性の向上を同時に実現してくれました」と語る。

KATIOセキュアカメラの導入は、当初想定していた範囲外での利用にも繋がっており、会議における資料やホワイトボードの画像データを議事録の一部として活用する動きも広がっている。また、万一の災害発生時における被災状況の報告にもKAITOセキュアカメラの利用を想定しているという。

青木氏は、「高画質での撮影が求められるデザインなどの一部の現場では、デジタルカメラが利用されることもあります。とはいえ、スマートフォンのカメラ性能も進化しているため、そのうちデジタルカメラを全廃する方針です。今回の成功をモデルケースに、KAITOセキュアカメラの利用範囲を全社にも広げていければと思います」と話した。


会社プロフィール

社名
マツダ株式会社
本社
広島県安芸郡府中町新地3番1号
URL
https://www.mazda.co.jp/

マツダ株式会社は、“Zoom-Zoom”のブランドメッセージのもと「走る歓び」と「優れた環境・安全性能」の両立に取り組む日本の自動車メーカーだ。2017年8月には技術開発の長期ビジョン「サステイナブル"Zoom-Zoom"宣言2030」を発表。「地球」、「社会」、「人」とクルマが共存する世界の実現を目指し、「走る歓び」にあふれたカーライフを通じて、お客さまの人生をより豊かにし、お客さまとの間に特別な絆を持ったブランドになることを目指している。