株式会社エムアンドシーシステム

提携施設のiPadにKAITOを導入
通信履歴やキャッシュなどを端末に残さない

目的

Webブラウザ経由で行うエポスNetの登録などにおいて、顧客に入力してもらった情報を端末に残さない運用を実現

課題
  • 既存のセキュアブラウザは、iOSのバージョンアップに伴う改修・テストにコストや工数がかかり、運用管理も煩雑だった
  • 1年ごとに発生するiOSの開発ライセンスの更新作業が大きな負担になっていた
選定理由
  • サーバを立てることなく、アプリ単体で利用できるためコストを最小限に抑えられる
  • iOSのバージョンアップに伴う対応や設定変更を容易に行える
  • 使い勝手に優れ、実績も豊富だった
導入の効果
  • 標準ブラウザとほとんど使い方が変わらないため、手軽に利用できた
  • 端末から顧客のプライバシー情報が漏えいするリスクを極小化した
  • KAITO経由でエポスNetに登録してもらう一連のプロセスを円滑に回せるようになった

iPadでプライバシー情報の漏えい対策が必須

株式会社エムアンドシーシステム
ストアシステム開発本部 ストアシステム担当
リーダー 野本 真由氏

株式会社エムアンドシーシステム(以下、エムアンドシーシステム)は、流通大手の丸井グループのシステム開発・運用を担う情報システムサービス企業だ。近年、丸井グループでは、ECに軸足を置いた独自のオムニチャネル戦略を展開し、競争力を強化。「店舗・カード・Web」を融合した三位一体型ビジネスを推進し、顧客サービスのさらなる利便性向上を図っている。こうした取り組みをITの側面から支えるのが同社のミッションだ。

丸井グループのビジネスの柱の1つであるカード事業では、エポスカードの会員数を伸ばし、「普段使いカード」として利用してもらうためのさまざまな施策を展開する。エポスカードは、丸井グループが発行するクレジットカードで、マルイでのショッピング優待が受けられるほか、Visa加盟店での利用でもポイント加算されるのが特長だ。

エムアンドシーシステムは、2013年、エポスカード申し込み用の独自システムを導入し、丸井全店・提携施設のカード発行窓口(カードセンター)に順次導入した。ストアシステム開発本部 ストアシステム開発部 ストアシステム担当 課長 畑野 博司氏は、「カードセンターに導入した独自システムでは、カードの申し込みとカード会員向けのネットサービスであるエポスNetへの登録を一連の流れで行える仕組みを運用しています。丸井店舗では、その場のパソコンを使って会員様にエポスNetの登録を促せますが、提携施設ではパソコンを設置できないケースもあるため、すでにカードを保有している会員様のエポスNet登録率が伸び悩んでいたのです。」と語る。

そこで同社は、提携施設のカードセンターに対し、すでにカードを保有している会員にWebブラウザ経由でエポスNetに登録してもらうための端末として新たにiPadを配布した。ストアシステム開発本部 ストアシステム開発部 ストアシステム担当 リーダー 野本 真由氏は、「オープン前の提携施設では、オープン初日からカードを使ってもらえるよう仮設カウンターでカードの事前申し込みを行っております。ハウステンボスエポスカードを発行するハウステンボスでは、カードセンターから離れた入場口などに一時的なカード申し込みカウンターを構えることもあります。パソコンを設置できない環境で、お客様に必要な情報を入力してもらう端末としての用途も想定していました」と話す。

不特定多数が使い回すことを前提としたiPadの運用で重要な要件になったのはセキュリティだ。プライバシー保護の観点で、顧客に入力してもらった情報を端末に残さない運用が求められた。


使い勝手・コスト・実績でKAITOを採用

株式会社エムアンドシーシステム
ストアシステム開発本部 ストアシステム担当
リーダー 島田 英氏

エムアンドシーシステムは、提携施設にiPadを配布するにあたり、他社製パッケージに独自機能を追加したセキュアブラウザを導入。しかし、このブラウザはiOSのバージョンアップに伴う改修・テストに費用がかかる上に、設定変更を含めた運用管理も煩雑だった。また、1年ごとに発生するiOSの開発ライセンス更新では面倒な手続きを余儀なくされ、過去にはライセンスの有効期限切れによりブラウザが起動しなくなったこともあったという。

そこで同社は、新たなソリューションの検討を開始。使い勝手やコスト、実績を評価し、JMASのKAITOを導入することを決めた。KAITOは、通信履歴やキャッシュ、Cookieなどのデータを端末に残さないセキュアブラウザ。サーバを立てることなく、アプリ単体で利用できるためコストを最小限に抑えながら運用できる。管理者がWebブラウザからKAITOの管理サーバにアクセスし、設定ファイルをアップロードするだけで容易に設定変更できるのも評価のポイントだった。

ストアシステム開発本部 ストアシステム担当 リーダー 島田 英氏は、「KAITOは、AppStoreなどの公式マーケットからダウンロードしてライセンスキーを入力すればすぐに利用できます。導入の手間はほとんどなく、KAITOを更新すればiOSのバージョンアップに対応できるのも利点でした」と話す。


情報漏えいのリスクを極小化

株式会社エムアンドシーシステム
ストアシステム開発本部 ストアシステム担当
課長 畑野 博司氏

エムアンドシーシステムは、2015年、KAITOを導入したiPadを提携施設に展開した。KAITO は、Safariなどの標準ブラウザとほとんど使い方も変わらないため、特別な研修を行うことなく手軽に利用できる。

島田氏は、「iPadのホームボタンを押せばKAITOを終了し、通信履歴などのデータを消去できます。また、一定時間操作しなかった場合にブラウザを自動終了する機能を有効にし、情報漏えいのリスクを極小化しています」と語る。

提携施設では、すでにカードを保有している会員に対し、KAITOを経由してエポスNetに登録してもらう一連のプロセスを円滑に回せるようになった。結果、提携施設での会員のエポスNet登録率は大きく上昇。携帯電話や電気、新聞など、毎月継続して発生する支払いにエポスカードを使ってもらうための提案もしやすくなり、リカーリング申込率が向上したという。

畑野氏は、「丸井グループでは、ECを重視した独自のオムニチャネル戦略の1つとして、実店舗と通販サイトの相互送客を促すさまざまな施策を展開しています。この中で、タブレット端末の活用は不可欠であり、お客様に個人情報を入力してもらう場面ではセキュリティの担保が必須です。今後さらにKAITOの活用範囲は広がっていくでしょう」と話している。


会社プロフィール

社名
株式会社エムアンドシーシステム
本社
東京都中野区中野4-3-2
URL
https://www.m-and-c.co.jp/

エムアンドシーシステムは、流通大手の丸井グループのシステム開発・運用を担う情報システムサービス企業だ。近年、丸井グループでは、ECに軸足を置いた独自のオムニチャネル戦略を展開し、競争力を強化。「店舗・カード・Web」を融合した三位一体型ビジネスを推進し、顧客サービスのさらなる利便性向上を図っている。