株式会社商工組合中央金庫

取引先融資における現場の実査シーンでの
撮影にKAITOセキュアカメラを活用
撮影から支店内共有までの
一連のプロセスを効率化し、融資審査や
フォロー業務への迅速な着手が可能に

目的

撮影から画像データの取り込みまでのプロセスを効率化するとともに、情報漏えいリスクも極小化したい

概要
  • 株式会社商工組合中央金庫(以下、商工中金)は、取引先融資における現場の実査シーンでの撮影に会社貸与のスマートフォン端末を活用することを検討していた
  • 営業担当者に常時貸与されるスマートフォン端末にKAITOセキュアカメラを導入し、ストレスなく現場の実査シーンでの撮影を行えるスタイルを確立した
課題
  • 従来は会社から貸与を受けたデジタルカメラで撮影を行っており、デジタルカメラの盗難・紛失による情報漏えいリスクがあった
  • また、デジタルカメラは、撮影の必要が生じた都度、貸与を受ける必要があり、貸与・返却には煩雑な手続きをとる必要があった
  • さらに、急な撮影機会が生じた際などにおいては、デジタルカメラを携行していなかったために、撮影ができないケースが発生していた
選定理由
  • 撮影された画像データをサーバへ転送し、完了後、端末内のファイルが自動的に削除される
  • セキュリティだけでなく、機能、価格、使い勝手の面でも一定の要件をクリアした
導入の効果
  • 営業担当者はデジタルカメラの貸与申請プロセスを経ることなく、常時携行しているスマートフォンからストレスフリーでいつでも自由に撮影が行えるようになった
  • 撮影から取り込みまでの一連のプロセスが円滑化し、営業事務担当者は事業性評価や各種資料の作成にすばやく取りかかれるようになった
  • 本人確認書類の確認業務にもKAITOセキュアカメラを活用している

営業担当者の撮影業務における利便性向上が課題

システム部 IT推進2グループ 調査役 田邉 陽介氏

商工中金は、政府と中小企業組合の共同出資によって1936年に設立された「中小企業による、中小企業のための金融機関」だ。日本全国47都道府県と海外4拠点の店舗網、および地域金融機関や外部機関とのネットワークを生かした金融サービスと経営全般のアドバイザリーサービスを提供し、7万社を超える顧客企業のビジネスをサポートしている。2018年4月を開始年度とする4年間の中期経営計画「商工中金経営改革プログラム」では財務構造改革支援、事業再生・経営改善支援、産業構造の変革への挑戦支援、新産業への挑戦や創業支援の4つを重点分野とし、中小企業および中小企業組合のさらなる価値向上に取り組んでいる。

そんな商工中金はモバイルデバイスを活用した業務改善を行っている。2020年6月にはすべての営業職員を対象にスマートフォン端末を貸与。さまざまな業務アプリケーションを導入し、業務効率化を図ってきた。その一環として取り組んだのが取引先融資における現場の実査シーンでのスマートフォン端末の活用だ。

商工中金では、財務諸表だけではわからない、経営者の経営ビジョンや戦略、ビジネスモデル、技術力などの把握・理解(=事業性評価)に務め、融資にとどまらない、その企業に応じたオーダーメイド型の多彩なソリューションを提供すべく取り組んでいる。その一連のプロセスにおいて、現場の実査は不可欠であり、建物や機械、設備等を撮影して記録に残している。そこで記録された画像データは社内共有され、取引先の事業性評価や最適なソリューション提供をするための資料作成などに用いられる。商工中金ではこれまで職員にデジタルカメラを必要な都度貸与し、撮影にあたらせてきたが、このやり方には2つの問題があったという。

1つは、撮影から帰店後の画像データの共有、メモリーカード内の画像データ消去までの間、デジタルカメラの盗難・紛失に伴う情報漏えいリスクがあったことだ。これは機密情報管理の観点で見過ごせない問題である。もう1つは、デジタルカメラの貸与申請プロセスが煩雑で、職員の利便性を損ねていたことだ。実際にそのプロセスは職員が取引先企業に電話などで連絡をとり、現場実査のアポイントメントを取りつけるところから始まる。その後、帳簿に訪問先や使用目的などの必要事項を記入し、デバイス管理者の承認を得た上で直接貸与を受けなければならない。つまり、デジタルカメラの貸与はアポイントメントの取得後でデバイス管理者が在席しているタイミングに限られていたのだ。

システム部 IT推進2グループ 調査役 田邉 陽介氏は、「貸与申請の手続きが面倒な上に使いたいときに使えないケースもありました。そして、返却においてもメモリーカード内の画像データの消去、帳簿への記入と押印、デバイス管理者の承認というプロセスを経なければなりません。撮影業務における職員の負担を軽減してあげたい、という思いが今回のプロジェクトの出発点でした。」と語る。


KAITOセキュアカメラのトライアル開始から
約3週間で本運用へ

システム部 IT推進2グループ 荘司 那菜氏

商工中金は2019年夏頃より、撮影業務の効率化と情報漏えい対策の強化を実現するツールの調査を開始。ほどなくして通信キャリアから紹介されたJMASのKAITOセキュアカメラを評価することにした。KAITOセキュアカメラはモバイル端末用のカメラアプリで、記録された画像データを暗号化した上でサーバへ転送するソリューションである。転送完了後、端末内の画像データは自動的に削除される。

システム部 IT推進2グループ 荘司 那菜氏は、「われわれがスマートフォン端末用の業務アプリケーションの選定において重要な要件としているのは、端末内に極力データを残すことなく運用できることです。端末内にデータを残さないKAITOセキュアカメラはそれをクリアし、機能や価格、使い勝手などの面でも申し分のないものでした」と話す。

商工中金ではKAITOセキュアカメラの採用決定後、システム部・関係部に限定したトライアルを実施。JMASのサポートを得ながら実用性を確認するとともに、安全性と利便性を両立した運用ルールの策定も行った。田邉氏は、「KAITOセキュアカメラは極めてシンプルな仕組みです。カメラアプリという性質上、基幹業務アプリとは異なり、それほど細かな設定変更や権限管理などを必要としません。各端末への配布も容易で、トライアル開始から約3週間で本運用に至ることができました」と語る。


予定外の視察機会にも撮影を行うことが可能に

商工中金は2020年10月、融資先の視察や実査などでの撮影業務にKAITOセキュアカメラを利用できる環境を整えた。これにより職員はデジタルカメラの貸与申請プロセスを経ることなく、いつでも撮影業務にあたることが可能に。本運用開始から約1年が経ち、KAITOセキュアカメラの利用者は約2,300人に上っている。

荘司氏は、「従来のスタイルでは、お客様との会話の流れや出張時などにおいて不意に生じた現場実査の機会に撮影できませんでしたが、新スタイルではそのようなロスもありません。いつでも自由に撮影できるようになり、1年間に記録された画像データは当初の想定を大きく上回る8万枚に達しています。デジタルカメラの保管や払い出し、履歴管理などにかかるデバイス管理者の負担が減ったことも成果の1つです」と話す。

画像データを迅速に支店内共有できるようになったこともメリットだ。従来のやり方では帰店後に外部記憶媒体との接続が許可された専用端末に画像データを取り込み、それらをファイルサーバの共有フォルダに収める必要があった。一方、現運用環境では転送ボタン押下後にKAITOサーバ上に作成されるアルバムへアクセスするだけで対象の画像データを閲覧、取得できる。撮影から共有までの一連のプロセスが円滑化し、営業事務担当者は事業性評価や各種資料の作成にすばやく取りかかれるようになった。

口座開設などに伴う本人確認書類の確認業務においてもKAITOセキュアカメラは欠かせない存在になりつつある。画像データに付与される撮影者の個人コードや日時データにより証跡管理が可能で、機微な情報を部分的にマスキングした上で画像データを保存することもできるためだ。また会議などにおいてホワイトボードに書き込まれた内容を画像データとして記録し、関係者に共有する取り組みも始まっている。これらはもともと想定していなかった使い方だ。

田邉氏は、「KAITOセキュアカメラはITデバイスの操作などに苦手意識のある利用者からも好意的に受け入れられています。UIに対するネガティブな意見はなく、操作面でのつまずきによるシステム部への照会もほとんどありません。今後は、営業事務担当者にもスマートフォン端末を貸与する計画です。それらにもKAITOセキュアカメラを導入し、情報共有基盤の1つとして活用を促していきたいと考えています」と話した。


会社プロフィール

社名
株式会社商工組合中央金庫
本社
東京都中央区八重洲二丁目10番17号
URL
https://www.shokochukin.co.jp/

商工中金は、政府と中小企業組合の共同出資によって1936年に設立された「中小企業による、中小企業のための金融機関」だ。日本全国47都道府県と海外4拠点の店舗網、および地域金融機関や外部機関とのネットワークを生かした金融サービスと経営全般のアドバイザリーサービスを提供し、7万社を超える顧客企業のビジネスをサポートしている。2018年4月を開始年度とする4年間の中期経営計画「商工中金経営改革プログラム」では財務構造改革支援、事業再生・経営改善支援、産業構造の変革への挑戦支援、新産業への挑戦や創業支援の4つを重点分野とし、中小企業および中小企業組合のさらなる価値向上に取り組んでいる。