全日本空輸株式会社

KAITOセキュアブラウザを導入したiPadを
すべての国内空港に展開
オンラインチェックイン普及に向けた
モニターキャンペーンを安全かつ
低コストに実施

目的

オンラインチェックインの一連の手続きにおいて利用者に入力してもらった情報をiPad内に残さない運用を実現したい

概要
  • 全日本空輸株式会社(以下、ANA)は、iPad経由で顧客自身にオンラインチェックインの手続きを行ってもらうモニターキャンペーンの実施を決めた
  • オンラインチェックインの手続きに際して入力された情報をiPad内に残さない運用を実現する必要があり、JMASのKAITOセキュアブラウザを導入した
  • モニターキャンペーンを安全に運営し、サービスの認知度アップを図るとともに、利用者の意見の収集・分析、コンセプトの検証も実施できた
課題
  • iPad内に情報を残さない運用を実現する術がなかった
選定理由
  • JMASの提案力とサポート体制
  • オプションによる機能追加ですべての要件をクリア
  • コンセプトの技術検証を低コストに実施
効果
  • モニターキャンペーンの実施に伴う情報漏えいリスクを極小化した
  • オンラインチェックインの利用者の意見などをもとに次の施策を検討している
  • iPadとKAITOセキュアブラウザによる仕組みの検証を迅速かつ低コストに実施できた

iPadの情報漏えい対策が不可欠

オペレーションサポートセンター空港サポート室
旅客サービス部 サービス開発チーム
大熊 貴紘氏

ANAは日本を代表する航空会社だ。1952年の創業から安全運航を第一に高品質な航空輸送サービスを提供し続けており、いまでは世界トップクラスのエアライングループの1つに数えられている。2022年度のANAグループ航空輸送事業計画においてはコロナ禍から回復基調にある国内線旅客需要や好調な貨物需要を最大限に取り込むとともに、国際線においても需要動向に合わせた柔軟な供給調整を行うことでグループ全体の収益を最大化することを目指している。

ANAは2022年5月、新サービスモデル「ANA Smart Travel」を発表した。これは航空券の予約・購入から搭乗手続き、保安検査場・搭乗ゲートの通過、機内Wi-Fi・エンターテインメントの利用、遅延・欠航対応までをモバイルデバイスで完結できるようにする仕組みだ。これにより、空港での混雑緩和と利便性の向上を実現し、ストレスのない旅を提供する。

現在、スマートフォンなどのモバイルデバイスで搭乗手続きを完了できる「オンラインチェックイン」を普及させ、手続きのデジタル化を推進している。オンラインチェックインは、予約・購入・座席指定と必要情報の登録を済ませた搭乗予定者が出発便の24時間前からオンライン上で搭乗手続きと搭乗券の発行を行えるサービスである。ANAアプリ上でチェックインの操作を済ませれば、空港のチェックインカウンターや自動チェックイン機の前にわざわざ並ぶ必要がなくなる。ANAアプリ、あるいはメール・SMSで取得できるモバイル搭乗券(QRコード)を 自動改札機にかざすだけで保安検査場や搭乗ゲートを通過することが可能だ。

オペレーションサポートセンター空港サポート室 旅客サービス部 サービス開発チーム 大熊 貴紘氏は、「オンラインチェックインの利用率を2023年度までに8割、2026年度までに9割に引き上げることが目標です。そのためにはまずサービス自体の認知度を高め、実際にお客様に使ってもらうことでメリットを体感してもらう必要があります。そこでわれわれは、iPadを通じてお客様自身にオンラインチェックインを体験してもらうモニターキャンペーンを期間限定で実施することを決めました。利用意欲を喚起するだけでなく、お客様の生の声を収集・分析し、今後の諸施策に反映することも目的でした」と語る。

ただ、不特定多数が使い回すことを前提とするiPadの運用においてはセキュリティ要求事項を満たす必要がある。プライバシー保護の観点で、オンラインチェックインの手続きに際して入力された情報を端末内に残さない運用が求められた。


JMASの提案力とサポート体制を評価

ANAは2021年9月、iPad上でオンラインチェックインの手続きを安全に行ってもらうためのツールの調査を開始した。iPadの購入元である通信キャリアに相談を持ちかけた結果、紹介されたのがJMASのKAITOセキュアブラウザだ。これは、利用終了後に通信履歴やファイルの閲覧履歴、キャッシュ、ローカルストレージ情報、Cookieなどの情報を端末内から自動削除するWebブラウザである。

ツール選定において最優先で評価した項目は、端末内から情報が漏れてしまうリスクを低減できるかどうかだ。また、モニターキャンペーンという性格上、通信ログのトラッキング機能を備えていることも重要だった。それらにコストを加えた3つの項目が重点的に評価され、KAITOセキュアブラウザの採用が決まった。

大熊氏は、「JMASはわれわれが描く構想をどのように実現するかを真剣に考え抜き、機能追加による対応も交えた形で提案してくれました。また、デモ環境をスピーディに提供してくれたおかげで検討課題の洗い出しから仕様の整理・決定、実装までのプロセスを円滑に進めることもできました。手順書の作成や問い合わせ対応などを含めて十分なサポートをいただき、スピード感を持ってリリースできたことに感謝しています」と話す。


iPadとKAITOセキュアブラウザの組み合わせは
有力な選択肢の1つ

オペレーションサポートセンター空港サポート室
旅客サービス部 サービス開発チーム マネジャー
木村 健志氏

ANAは2022年1月、すべての国内空港にKAITOセキュアブラウザを導入したiPadを展開し、オンラインチェックインの手続きを安全に行ってもらえる環境を整えた。KAITOセキュアブラウザを起動すると、CTAボタンからオンラインチェックインの手続きページに誘導し、お客様自身で実際にその端末でオンラインチェックインを実施いただく流れだ。主要5空港についてはオンラインチェックインをより多くの人に訴求できるようブースを設置し、そこにiPadを配備。そのほかの国内空港については顧客から直接問い合わせがあった際に係員がiPadを手渡しするオペレーションとした。

KAITOセキュアブラウザによりiPad内に情報を残さない運用を実現し、情報漏えいリスクを極小化できた。チェックイン完了後の5秒後にブラウザを自動終了させ、端末内の情報を即時に消去できるようにしたことは工夫の1つだ。また、無操作状態が5分間続いた場合にもブラウザを自動終了させる。このため利用者が入力途中で離脱してしまっても情報の消去が可能だ。さらにKAITOセキュアブラウザのメニューボタンをタップしても反応しないようにし、無用なサポート対応やトラブルを生むリスクを排除した。

オペレーションサポートセンター空港サポート室 旅客サービス部 サービス開発チーム マネジャー 木村 健志氏は、「そもそもKAITOセキュアブラウザ導入の目的は、オンラインチェックインのモニターキャンペーンを安全に運営することにありました。サービスの認知度を高めるとともに利用者の意見を収集・分析できたこと、今回の仕組みにおいて要件定義や問題点の把握、効果測定などを実施できたことの2点においてミッションを完遂できたと言えます」と語る。

オンラインチェックインのモニターキャンペーンは2022年3月末をもってひとまず終了した。現在は、オンラインチェックインの利用率をさらに高めるために打つべき施策について検討を重ねているところだ。

大熊氏は、「iPadとKAITOセキュアブラウザの組み合わせは有力な選択肢の1つです。職員1人ひとりに貸与するiPadにKAITOセキュアブラウザを導入し、お客様から問い合わせを受けたその場でオンラインチェックインを案内できるようにすることも視野に入れて検討しております。ただ、オンラインチェックインの利用率を9割に引き上げるためには複合的なアプローチが必要でしょう。JMASにはKAITOセキュアブラウザの提供という枠を超えて、引き続き有益な情報提供と技術支援をいただきたいと考えています」と話した。


会社プロフィール

社名
全日本空輸株式会社
本社
東京都港区東新橋1-5-2
URL
https://www.ana.co.jp/group/

ANAは日本を代表する航空会社だ。1952年の創業から安全運航を第一に高品質な航空輸送サービスを提供し続けており、いまでは世界トップクラスのエアライングループの1つに数えられている。2022年度のANAグループ航空輸送事業計画においてはコロナ禍から回復基調にある国内線旅客需要や好調な貨物需要を最大限に取り込むとともに、国際線においても需要動向に合わせた柔軟な供給調整を行うことでグループ全体の収益を最大化することを目指している。