クリナップ株式会社(営業支援編)

iPadの営業支援アプリ開発をJMASに委託
情報の一元化・共有を実現し、
組織営業力を大幅に強化

目的

組織営業力を強化して利益の源泉となる営業担当者の商談時間を創出するため、営業情報を一元化・共有できる営業支援アプリを導入したい

課題
  • 紙ベースの営業情報管理では必要な情報をすぐに取り出せず、顧客対応漏れやミス、商談機会のロスを生むリスクになっていた
  • 案件や商談進捗情報をリアルタイムに社内共有できず、マネジャーは各営業担当者に適切な指示を出すのが難しかった
選定理由
  • モバイルアプリ開発に定評のあるJMASへの信頼
  • iPadアプリ開発のノウハウや実績も豊富
  • モックアップアプリで動作やデザインを確認しながら必要な機能を精査・実装できる開発体制
導入の効果
  • 営業担当者は、外出先でも各顧客にひもづく詳細な商談ステータスを把握しながら適切な顧客アプローチが可能になった
  • 顧客対応漏れやミス、商談機会のロスが減り、営業効率が向上した
  • マネジャーは追いかけるべき案件を適切に判断し、現場へすばやくフィードバックできるようになった
  • 組織的に営業活動をサポートできる体制を整備した

属人的な営業活動からの脱却を目指す

クリナップ株式会社 営業本部 営業管理部
CMS課 城川 雅晶氏

クリナップ株式会社(以下、クリナップ)は、システムキッチンや流し台、システムバスルーム、洗面化粧台などを製造・販売する住宅設備機器専業メーカーだ。ステンレスの加工技術に強みを持つ同社は、上質ステンレスのシステムキッチン「クリンレディ」や、清掃のしやすさを追求した流し台「流レールシンク」などのヒット商品を次々と生み出しており、業界をリードし続けている。

営業本部 営業管理部 CMS課 係長 城川 雅晶氏は、「住宅設備業界では、新設住宅着工戸数が減少傾向にある一方で、リフォーム市場の拡大が見込まれています。この中で、持続的な競争優位を確保していくためには、これまで以上にお客様のニーズや市場の変化に迅速かつ柔軟に対応できる営業体制の構築が望まれました」と語る。

同社の営業先は、商品を利用するエンドユーザではなく、代理店や販売店、工務店、リフォーム店、ハウスメーカー、ゼネコン、マンションデベロッパなどになる。営業担当者の主な業務は、クリナップの商品を扱ってもらうための商品PRや見積作成、現場確認、取り付け・設置立ち会い、ショールーム誘客などだ。城川氏は、「これまで各営業担当者は、独自に作成したExcelや紙、頭の中などで営業に必要な情報を管理してきました。しかし、こうしたやり方による情報管理では、顧客や案件、商談の進捗情報を必要なときにすばやく取り出せません。これが顧客対応漏れや商談機会のロスを生むリスクになっていたのです」と話す。

また、業務に必要な情報を社内で迅速に共有できなかった。このため、マネジャー層は、「だれが」「だれに」「いつ」「何を提案して」「どうなったか」という営業の実態を適切なタイミングで把握できず、各営業担当者に適切な指示を出すことも難しかったという。

そんな中、同社は2015年4月を開始年度とする3年間の中期経営計画において、個人頼みの営業スタイルをチーム主体にすることで、組織営業力を強化するプロジェクトを立ち上げた。重要なテーマになったのが、属人的な営業活動からの脱却と情報の共有だ。

城川氏は、「営業の本質は、お客様と良好な関係を築き、商談を円滑に進めることです。営業担当者が見積書や各種申請書の作成といった社内業務に多くの時間を割くのは望ましくありません。そこで、利益の源泉となる商談時間を作り出すことをミッションに営業の役割を再定義し、社内から営業をサポートする職種を新設したのです」と語る。


直感的に利用できる営業支援
アプリの開発をJMASが支援

クリナップ株式会社 情報システム部
担当部長 城下 謙二氏

クリナップは、IT面でも営業情報の一元化・共有を実現する仕組みが必要と判断し、独自の営業プロセスに合致した営業情報の電子化プロジェクトを立ち上げ、その1つとしてiPad用の営業支援アプリを開発することを決めた。営業所にいるときと同等の情報閲覧環境があれば、商談をさらに有利に進められると考えたためだ。

情報システム部 担当部長 城下 謙二氏は、「もともと営業支援システムの開発・運用を委託していたJMASの実績を評価しつつも、公正かつ公平を期すため、複数のシステムインテグレータによるコンペを行いました。結果、モバイルアプリ開発のノウハウや実績、コスト、開発期間などのさまざまな項目を評価してJMASを選択しました。ノートPCではなく、iPadを選んだのは、顧客接点を増やすツールとして高い視認性と携帯性、機動性を求めたためです」と話す。

アプリ開発で重視したのは、マニュアルレスで使えるユーザーインターフェース(以下、UI)だ。約5カ月の要件定義フェーズでは、エンドユーザへの入念なヒアリングを行い、操作性や視認性に優れたUIを追求した。

「JMASは、プロジェクトの初期段階からiPad上で実際に動くモックアップアプリを作成してくれたため、想像と実物のギャップを埋めて仕様を固める作業が楽でした。使用感を細かくチェックしながら必要な機能を精査・実装できたため、結果的にだれもが使いやすいアプリをリリースできました」(城下氏)


組織的営業を実践し、
営業担当者1人あたりの商談件数が増加

クリナップは、2016年1月、全国の営業担当者に配布している約900台のiPadに対し、営業支援アプリ「C-SPC」をリリースした。ユーザ研修では、操作方法の説明を極力省き、C-SPC使用時の仕事のイメージやメリットを解説することでC-SPCが営業を効率化するために必要という共通認識を形成。直感的に操作できることからアプリを利用することへのユーザのとまどいはなかったという。

現在は、全国の営業担当者がiPadを持ち歩いてC-SPCを利用し、顧客、案件、商談進捗管理を行っている。これにより、営業担当者は、外出先で各顧客にひもづく商品情報、取り付け情報、配送・搬入情報などの詳細な商談ステータスを把握し、適切な顧客アプローチを行うことが可能に。C-SPCで物件の間取り図や写真、見積書などを参照しながら商談を進められるようになり、顧客対応漏れやミス、商談機会のロスが低減した。

城川氏は、「顧客、案件、商談進捗情報は、社内にもリアルタイムに共有され、社内スタッフが見積書や各種申請書類の作成などをサポートしています。これにより、営業担当者の社内業務による負担は軽減しました。C-SPCは、営業担当者1人あたりの商談件数の増加に寄与してくれています」と語る。

また、C-SPCは、各営業担当者が案件の優先度を3段階で指定し、レポート集計できる仕様になっている。このため、マネジャー層は、レポートを見ながら確度の高い案件に注力すべきか、確度の低い案件の確度を高める活動をすべきかなどの判断を迅速に下して現場にフィードバックできるようになった。直感的に操作できるC-SPCの評価は上々だ。各営業所からは次々と機能改善要求も上がってきている。今後もROIをシビアに見ながらユーザの要望を反映し、C-SPCの利用率をさらに高めていく。

城川氏は、「われわれは、システム連携を強化し、C-SPCで閲覧できる情報の範囲を広げていく計画です。今後もJMASのサポートを得ながら、組織営業力をさらに高め、お客様により付加価値の高いサービスを提供していきます」と話している。


会社プロフィール

本社
東京都荒川区西日暮里6-22-22
URL
http://cleanup.jp/

クリナップは、システムキッチンや流し台、システムバスルーム、洗面化粧台などを製造・販売する住宅設備機器専業メーカー。ステンレスの加工技術に強みを持ち、上質ステンレスのシステムキッチン「クリンレディ」や、清掃のしやすさを追求した流し台「流レールシンク」などのヒット商品を次々と生み出している。