- 株式会社みずほ銀行
紙運用の取次業務プロセスを
システム化し、業務効率化を推進
モバイルアプリの開発実績と
ユーザに寄り添った提案力が
JMAS選定の決め手
目的
紙で運用してきた取次業務プロセスをシステム化し、ペーパーレスと業務効率化を実現したい
- 概要
- 株式会社みずほ銀行(以下、みずほ銀行)は、モバイルデバイスを活用した業務プロセス改革の一環として、渉外営業における取次業務プロセスの改善に着手
- モバイルアプリの開発実績が豊富なJMASに協力を依頼し、紙で運用してきた取次業務プロセスをシステム化することに成功
- 渉外行員はiPad上の“タブレット取次アプリケーション”を利用し、顧客からの依頼案件の内容を事務処理担当者に共有することが可能に
- 渉外行員から現金や通帳などの預り物件を受け取った事務処理担当者は、依頼案件の内容を確認しながら必要なオペレーションを実行
- 結果、ペーパーレスは進み、内容点検にかかる時間が約80%短縮。システム化したことにより業務量が見える化され、業務の実態把握も容易になった
- 課題
- 紙による取次業務では必要事項の記入漏れや誤記入が起きてしまい、そのたびに受取証を再発行する手戻りが発生した
- 案件の進捗状況を容易に把握できず、週次、月次の内容点検に相当な時間を費やしてきた
- 選定理由
- モバイルアプリの開発実績が豊富
- 銀行の業務やシステムを熟知した提案力
- 効果
- 取次業務プロセスを効率化するタブレット取次アプリケーションを展開した
- 渉外行員と顧客との間の紙のやり取りが減少した
- 内容点検にかかる時間が約80%短縮した
- モバイルデバイスを活用した業務プロセス改革が大きく前進した
取次業務の非効率を解消したい
みずほフィナンシャルグループの子会社であるみずほ銀行は、国内最大級の顧客基盤と国内外の拠点ネットワークを有するリーディングバンクだ。ブランドのスローガンは、「One MIZUHO 未来へ。お客さまとともに」。"お客さま第一(Client–Oriented)"を徹底し、顧客にとって最適な金融サービスを提供することで、課題解決のベストパートナーになることを目指している。
みずほ銀行は、モバイルデバイスを活用した業務プロセス改革を推進する。2015年には全行員にiPadを配布。顧客への商品説明や出先での情報閲覧用の端末として活用することで、渉外業務の効率化を図ってきた。その一環として今回取り組んだのが、渉外営業における取次業務プロセスの改善だ。
渉外営業では、顧客から預金の入出金や振込、通帳の記帳、金融商品の購入など、その場で処理できない手続きの依頼を受け、現金や通帳、小切手、手形、証書などを預かるケースがある。その際、渉外行員は携行する複写式の取次票に預り物件や金額、手続き内容、返却方法などを記入し、顧客に受取証を手交する。その後、帰店した渉外行員は、取次票と預り物件を店舗の事務処理担当者に引き渡す。オペレーション完了後、顧客を再訪し、預り物件を返却する一連のプロセスを同行では取次業務と呼んでいる。
事務企画部 企画チーム 調査役 遠山 茂氏は、「全国の約400店舗で1日に発生する取次業務は、4,000件から5,000件に上ります。ただし、従来のやり方ではどうしても必要事項の記入漏れや誤記入が起きてしまい、そのたびに受取証を再発行する手戻りが発生していました。これではお客様に迷惑をかけてしまいます。また、渉外課管理者は週次、月次で行う内容点検に相当な時間を費やしてきました。紙で運用してきた取次業務プロセスをシステム化することで、こうした非効率を解消したいと考えたのです」と語る。
システム基盤にクラウドを採用
みずほ銀行は、取次業務プロセスを効率化するiPad用アプリの開発プロジェクトを立ち上げた。システムインテグレータの選定で重視したのは、モバイルアプリの開発実績だ。遠山氏は、「JMASには以前、業務目的のiOSアプリを開発していただきました。その成功体験や、iOSアプリの開発実績を評価し、JMASを選定しました。」と話す。
今回のプロジェクトの方針は、早く、小さく始めて実用面のリスクを洗い出し、微修正しながら段階的に利用範囲を拡張していくことだ。そこでJMASは、システム基盤をクラウドに置くことを提案。システムの増強や機能追加、運用監視や障害対応などを含め、必要なIT施策を適正なコストで展開できるクラウドを導入するメリットは大きかったという。
遠山氏は、「JMASの的確なアドバイスのおかげでしっかりとした要件定義を行えたことが印象的です。JMASは実際に現場を訪れ、取次業務の理解を深めた上でモックアップアプリを作成してくれました。使用感を確かめながら必要な機能を精査、実装できたため、業務の性質やユーザの要望に沿った“タブレット取次アプリケーション”を開発できました」と語る。
案件の内容点検時間を約80%短縮
みずほ銀行は、2017年3月、都内3店舗においてタブレット取次アプリケーションのトライアル運用を開始。遠山氏を中心に、アプリの操作方法を指導したり、業務での使用イメージを伝えたりすることで定着化を図ってきた。2018年5月時点でタブレット取次アプリケーションの利用範囲は36店舗にまで広がっている。
渉外行員は顧客から手続きの依頼を受けると、タブレット取次アプリケーションを開いて預り物件や金額、手続き内容、返却方法などをフォームに入力しシステムに登録する。その内容を店舗の事務処理担当者に引き継いで業務を進めていく。また、フォームの入力漏れや誤入力があるとアラートが通知されるため、形式不備による手戻りも激減したという。受取証については電子メールで、顧客宛てに送信するのが通常の流れだ。
遠山氏は、「紙の受取証を求められるお客様については、従来どおり複写式の取次票に記入して受取証を手交しています。この場合、一度紙に記入した内容をシステムに入力するのは二度手間です。そこで、JMASのKAITOセキュアカメラを用いて受取証を撮影する手順をプロセスに組み込みました。裏では、画像内の文字を読み取ってデータに変換するOCR処理を走らせ、システムへの取り込みを自動化しています。KAITOセキュアカメラで撮影した画像データは端末から自動的に削除されるため、情報管理面でも安心です」と話す。
また、預り物件の店内授受から手続き完了、返却までに至る案件の進捗管理もアプリ上で行っており、たとえば、長期にステータス変更のない案件を可視化することが可能だ。結果、手続きが滞ってしまうリスクは低減し、内容点検にかかる時間も約80%短縮した。
みずほ銀行は、2018年上半期までにタブレット取次アプリケーションを全店舗に展開する計画だ。遠山氏は、「今後は、店舗外での住所変更依頼など、別の内部管理帳票のやり取りを伴う取次業務もタブレット取次アプリケーション上で管理していきたいと考えています。銀行には業務に煩雑さをもたらす紙文化が残っています。JMASには、紙で運用するさまざまな業務プロセスをシステム化するための有用な提案を期待しています」と話している。
会社プロフィール
- 社名
- 株式会社みずほ銀行
- 本社
- 東京都千代田区大手町1–5–5
- URL
- https://www.mizuhobank.co.jp/
みずほフィナンシャルグループの一員であるみずほ銀行は、国内最大級の顧客基盤や国内外の拠点ネットワークを有するリーディングバンクだ。同行は、2016年を開始年度とする3年間の中期経営計画「進化する“One MIZUHO”~総合金融コンサルティンググループを目指して~」のもと、「お客さま第一」と「オペレーショナルエクセレンス」の追求を進め、顧客の多様な金融ニーズに的確かつ迅速にこたえるOnly Oneのパートナーになることを目指している。