- 株式会社カウネット
既存分析基盤の制約を乗り越え、AWS×Snowflakeで
自律自走のデータ活用基盤を構築

目的
社員が業務に必要なデータを自ら取得・分析できる環境を整え、「全員参加型」のデータ活用を実現させたい
- 概要
- 株式会社カウネット(以下、カウネット)では、既存の分析基盤において、データ量の増加に伴い、リソース制約による処理遅延や、分析業務の属人化が課題となっていた
- また、Accessによる分析業務も大量に存在し、データ活用の拡大が難しい状況にあった
- 同社は、Amazon Web Services(以下、AWS)およびSnowflakeを基盤とした新たな分析環境の構築により、「全員参加型」のデータ活用の実現を目指した
- 課題
- 既存の分析基盤では、データ量の増加に伴う処理性能やリソース面の制約が顕在化していた
- 業務上、分析を主体的に行う分析コア層と、必要に応じてデータを参照するライト層に分かれており、データ活用の担い手が一部にとどまっていた
- Accessによる分析業務も存在し、分析業務の属人化やデータ活用の全社的な広がりが難しい状況であった
- 選定理由
- コクヨグループの業務やデータ特性を踏まえた、現実的な基盤刷新の進め方の提示
- クラウドデータ基盤に関する設計・構築の実績
- データ活用の定着に向け、伴走型の支援体制を備えている
- 効果
- 処理性能やリソース面の制約が緩和され、分析業務を安定して行える環境が整備された
- 分析コア層とライト層の間にあったデータ活用のハードルが下がり、より多くの社員が業務上データに触れやすい環境となった
- 分析業務の属人化が解消されつつあり、「全員参加型」のデータ活用に向けた基盤が整った
組織横断的なデータ活用・分析を実現したい

ユニット長 川村 真澄 氏
カウネットは、コクヨ株式会社(以下、コクヨ)の100%出資連結子会社として2000年10月に設立され、オフィス用品や文具、OA・PC用品、家具などの通信販売事業を担う。主要サービスとして間接材全般の購買を一元管理できるプラットフォーム型購買管理サービスの「べんりねっと」 と、オフィス用品通販サイト「カウネット」を展開。顧客のオフィス用品購買業務の効率化とコスト削減を支援している。
総合文具・オフィス家具メーカーという伝統的なイメージのあるコクヨにおいて独自のビジネスモデルを展開するのがビジネスサプライ事業本部だ。同部はIT・デジタル技術を駆使し、通販・小売事業の変革を進める中核組織である。
同部は、カウネットのデータ活用・分析環境の根本的な見直しが必要と考えていた。カウネットでは、オンプレミス型の分析基盤を利用していたが、データ量の増加に伴う処理性能やリソース面での制約が課題となっていた。その結果、カウネット内には基幹システム、物流システム、ECサイトの行動ログデータなど、複数の分析用データソースが存在し、部門やシステムごとに管理・利用方法が異なる状況にあった。これは組織横断的なデータ活用・分析が困難なことを意味する。
ビジネスサプライ事業本部 Bサプライ事業戦略室 データドリブン推進ユニット ユニット長 川村 真澄氏は、「データが様々な場所に散在し、全体として統制が取れていない状態でした。また、利用できるデータも限定的で品質にばらつきがあり、他システムとのデータ統合も難しい状況でした。さらに、データの利用者が一部に限られており、分析や運用が特定の個人に依存する、いわゆる属人化の傾向も見られ、スケールしにくい構造になっていました。データドリブンを目指すわれわれとしては、社員が業務に必要なデータを自ら取得・分析して意思決定に役立てるサイクルを自律的に回していける環境を整備する必要がありました」と語る。
システム側の要件としてもリプレースが求められた。分析ニーズの拡大に伴うデータ連携のたびにシステム改修が発生し、対応の遅延と高額なコストが生じていたためだ。この中で同部は、カウネット内に存在する複数の分析用データソースからデータを収集・集約するとともに一元的なデータプラットフォームを構築する方針を固めたのだ。
JMASがデータレイクとDWHサービスを統合した
データ分析基盤の構築を支援
ビジネスサプライ事業本部は2024年1月、グループの主要なクラウド基盤として利用しているAWSを活用し、データレイクとDWHサービスで構成されるデータ分析基盤の構築プロジェクトを発足。DWHサービスの選定から要件定義、設計、構築、テスト、評価・改善までのプロセスを遂行するための知見と技術力、リソースを調達する必要があり、ベンダー選定に着手した。具体的には、RFPに基づいてJMASを含む2社をコンペにかけ、比較・評価するプロセスを遂行。AWSの幅広い知見と高い技術力を有し、本質的かつ説得力のある提案を示したJMASをパートナーに指名した。
ビジネスサプライ事業本部 Bサプライ事業戦略室 データドリブン推進ユニット 夛名賀 寛氏は、「データ分析基盤の構築においては、企業独自のデータモデルや制約条件を定義・設計し、それらをETL処理やデータカタログ、メタデータ管理ツールなどへ実装するプロセスに相当の時間を要します。JMASにはコクヨのデータ分析基盤の構築実績があり、われわれの業務やデータ特性をある程度理解しているところにも優位性がありました」と話す。
DWHサービスの選定ではインフラ管理やコスト管理のしやすさ、テクニカルサポートの充実度といった運用サイドに必要な視点でいくつかの製品を評価。エンドユーザにも選定プロセスに入ってもらい、処理速度・レスポンスなどのパフォーマンスと操作性を見定めてもらった。結果、Snowflakeの採用が決まった。
ビジネスサプライ事業本部 Bサプライシステム本部 開発ユニット 岡村 涼平氏は、「JMASにはDWHサービスの選定から要件定義、インフラ構築、データソース連携、データレイク構築、中間データ層の作成、データマート作成、ダッシュボード・レポート作成までを包括的に支援していただきました。JMASが初期開発という困難な局面を乗り切るために課題や進ちょくの共有を密にし、対面での共同ワーク体制を構築してくれました。オーナーシップの異なるスコープが多岐にわたるプロジェクトでしたが、JMASがうまく取りまとめてくれたおかげで大きな問題なく進行できました」と語る。

ビジネスサプライ事業本部 Bサプライシステム本部 開発ユニット 岡村 涼平 氏(右)
データドリブンアプローチが全社で促進
カウネットでは2025年1月からデータ分析基盤の利用を開始した。具体的な構成としてはAWS Glueでデータの変換・統合処理が行われ、Snowflakeに整理・統制されたデータが集約される。BIフロントツールとして主に利用されるのがAmazon QuickSightだ。経営層には収益性や経営の安全性、財務の健全性を網羅したKPI(経営評価指標)と達成度をダッシュボードで公開。各部門のマネジメント層に対してはマーチャンダイジング・物流などにかかる各種KPIなどの情報が主にダッシュボードを通じて提供される。また、特定の分析ニーズが生じた場合、だれもが使い慣れたBIツールを通じてSnowflake上の統一されたデータを参照・分析することが可能だ。
夛名賀氏は、「これまでは基幹システムをデータソースとして連携させる場合、ベンダーによるシステム改修が必要になるなど、コストだけでなく、スピードと質の面でもデータ活用の障壁がありました。つまり、データ抽出・加工・レポート化に時間がかかり、意思決定のタイミングを逸するほか、データ鮮度の低下による誤った判断につながるリスクがあったのです。今回、データソースシステムとの連携方法をファイル連携だけではなく、それぞれのデータソースシステムの特性に合わせた形にすることでデータソースシステムを改修することなく、統合的なクエリ実行や分析を行うプロセスを確立できたのは成果の1つです」と話す。
カウネットでは「分析に必要なデータを自ら取得する」という社員のマインドセットが形成され始めており、データ活用が進んでいる。実際、分析コア層の多くはビジネスの目標や業務課題にもとづくダッシュボードの構築・社内共有を自発的に行い、現状把握や客観的な数値・事実を根拠とした意思決定に取り組んでいる。また、分析ライト層についても分析コア層が構築したダッシュボードなどのデータに触れる機会が増えたという。こうした「全員参加型」のデータ活用が定着することで、現場で自律的に回る「自律自走」の状態へとつながりつつある。
川村氏は、「カウネットの社員が自らデータの取得・分析やAI活用などの必要なユースケースを実現できる環境が整いました。ただ、自律自走のデータドリブン組織になるためには人材育成、技術、体制のどの面をとっても不十分です。JMASには、われわれが日進月歩のデータ活用・AI技術を使いこなし、ビジネスの最前線で戦い続けていく上での強力なパートナーであり続けてほしいと考えています」と話した。
会社プロフィール

- 社名
- 株式会社カウネット
- 本社
- 東京都港区港南1-8-35
- URL
- https://www.kokuyo.com/kaunet/
カウネットは、コクヨ株式会社(以下、コクヨ)の100%出資連結子会社として2000年10月に設立され、オフィス用品や文具、OA・PC用品、家具などの通信販売事業を担う。主要サービスとして間接材全般の購買を一元管理できるプラットフォーム型購買管理サービスの「べんりねっと」 と、オフィス用品通販サイト「カウネット」を展開。顧客のオフィス用品購買業務の効率化とコスト削減を支援している。




































